裏2人目 佐藤ケイ(23)の過去 私はこうして人生を救われた!
「えっ……『飛んだ』ってどういうこと? You can fly??」
「ちげーよ、お前の親父がでけえ借金を俺達闇金に残して消えたんだ」
「そんな! パパとは4日前に会ったばかり」「お前の今の水商売じゃ返せないだろう、稼げる所へ紹介してやる」
バイトしながら高校を自力で卒業した後、
昼は事務員、夜は水商売をして自立していた私、
佐藤ケイは22歳にして、お店を出た明け方、ガラの悪い日本人に取り囲まれていた。
「稼げる所って!」「保証人にサインしただろう」
「パパが絶対に迷惑かけないから、形だけだからって」
「これが無ければ貸す訳ないだろ、写真付きで持ってきてたぞ」
そんな、まさかパパが、
事実上、私のことを売った……?!
「That’s a lie!」「残念だが本当だ」
「私は……私はどうなるの」「ちょーっとエグいことになっちまうな」
「オヤジに聞いた話だとお前、妹が居るらしいじゃねえか、そい」「やめて!!!」
ナオミだけは、
絶対に駄目よっ!!
「そんな、いま中学生のはずじゃ」
「お前より稼げるな、間違いなく」「呼べるか?」
「……私が、私だけが行きます」「店には俺から言ってお」「待て」
そこへ現れた背広の紳士……!!
「なんだ、カタギなら黙ってろ、警察なら人が替わるだけだ」
「さっきお前らんとこのケツ持ちと話がついた、代金も海外経由で振り込んだ」
「なんだと?! ……ちょっと待て、オジキから電話だ……もしもし、今、例の女を」
暫くスマホで話をしたのち……!!
「金が払えたんなら文句はねえ、ただ借用書は1枚か?」
「1回しか書いてないわ!」「ならもう2度とお前の親父には関わるな」
「……もういいの?!」「とんだ助け舟だな、化石みたいな所から話が来たそうだ、じゃあな!」
一斉に退いて行く、
ガラの悪い人たち。
「大丈夫かい?」
「あ、貴方は、どこのジェントルマンですか」
「使いたくない手を使ってでも君が欲しかった者さ」
私が……欲しい?!
「では私は、売られたのですか」
「引き抜きだよ、君が昼に働いている事務所から、
君は高校時代、貿易関係の仕事がしたかったらしいね」
そう、進路相談で話した日本とアメリカの橋渡しができる仕事、
昼に事務員として働く会社もそれに僅かにかすっていて、社長さんに雑談で話したりもした。
「私の働いていた総合商社の末端、
そこと提携している会社の事務員に有能な女性が居ると聞いてね、
確かに君の作った翻訳書類を読むと素晴らしかった、君を私が独立する会社に欲しい」
まさか……
これが『蜘蛛の糸』っていうやつ?!
「で、でも私そんな、普通の高卒で」
「実働隊は私1人と言って良いだろう、大阪に置く秘書と出ることもあるだろうが、
基本、東京事務所の、まあ会社でもあるんだが、そこで副社長をやって欲しい」「私が?!」
まさか、アンビリーバボーだわ。
「ただし、ひとつだけ条件があるんだ」
「それは、それはいったいなんでしょうか……」
提示された話に、
私は、あ、そういうことかってなった。
「その息子さんが、私に惚れたと?」
「いや、逆に惚れさせて欲しい、父親の勝手な策略だ」
「……失敗したら」「何も無い、いや、普通に副社長は続けて貰う」
私はなんとなく、
嫌悪感を感じるような人身売買では無い気がした。
「断るなら大阪にも作る私の個人会社で働いて貰う、
ただ副社長ではなく普通の事務だから給料も」「やります」
「良いのか、せめて息子の写真を見るとか」「そのかわり私も条件があります」
紳士の目を真っ直ぐに見る私。
「何だね」「妹のナオミが、もし苦しんでいるなら助けてあげて下さい」
「わかった、約束しよう、私の希望を叶えてくれるなら」「あと、どうやって私を助けたか」
「お金を肩代わりすればハイ終り、と行かなさそうな連中だったからね、亡くなった私の爺さんの悪いコネを、まあ使えるのはこれが最後だろう」
それ以上は聞いてはいけない気がした。
「それでは東京の、どこへ行けば」
「タワマンだね、くれぐれも息子を頼む、私もごくたまに行く」
「わかりました……ありがとうございます」「昼の仕事先は話はしてあるから、夜の方もきちんと話をして辞めてきてね」
こうして私は、
人生最大のピンチを、
謎のジェントルマンによって救われたのだった……オーマイガッ!!
回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回回
(それにしても、私、15歳の男の子の扱い方が、わかんなぁーい!!)
試しに私の身体へ沈みに来てって言ったら引いていた、
ここはやはり奥ゆかしい感じで行った方が良いのかしら?
水商売で相手していた、話を聞くだけのおじさんおじいさんとは言うなれば種族が違う気がする。
「あーもうナオミが居れば相談できるのにいいいいい!!」
「な、なにを興奮してるのこの半分アメリカ娘さんはっ!!!」
「WOW! S-CUP!!」「だからそこまでは無いからぁ~」
あいかわらずのホルスタインね。
「HEY! ジミキョニュー、アナタハ、ナニヲオシエルノ?」
「経理だから数学に決まっているでしょ〜、歴史とか言われても何とかするけど〜」
「イイパコツクロウ、キャバクラバクフ?」「だから〜夜のお店のお客さん用ギャグは〜、やめなさいって〜」
しかしなぜか、
こんな会話でも嬉しそうな地味巨乳、
彼女もまた、心に傷を負っていたのであった……。




