第121話 やっと一緒に観に行けたらしい
「涼一くんどうだった? 映像ミュージアム」
「これある意味、室内遊園地ですよね、楽しかったです!」
「そう、良かったわ」「こんな面白い体験美術館? デートにぴったりですね!」
放課後、とうとう凪さんがずっと一緒に行きたがっていた映像ミュージアム、
あえて事前情報を仕入れず入ったが、これが面白いのなんのって、映像の中に入るというか、
壁や床・天井全てが映像で宇宙空間エリアなんてプラネタリウムどころじゃなかった、いやあ凄かった。
(喜ぶ僕を見て笑顔の凪さん、そしてラーメンをすする)
眼鏡がちょっと曇ってるな、
僕もラーメンをいただいている、
映像に囲まれながら……そう、食事まで360度、没入感の中だ。
(ちょっとやかましい、でもそれ以上に物珍しさが勝っている)
まさかこんなに楽しい博物館だったとは。
「体感エリアで涼一くん、はしゃいでなかった?」
「まさか室内フィールドアスレチックみたいなのがあったとは、子供なら何度もリピートしそう」
「明日、濡れちゃったけど」「めくれるジーンズを用意してきて、ってこういうことだったんですね」
そう、足首から下を水に浸けて進むエリアがある、
凪さんはこのためか、ちょっと活発なジーンズのお姉さんって恰好、
室内ミュージアムなのに活発系お嬢様な姿でなぜだろうと思ったら、こういうことかって。
(ただ、あのGパンですら、めっちゃ値段高そう)
長袖長ジーンズの活発系眼鏡お嬢様、
なんだろう、これ考えちゃ悪いんだけど、
景香お姉ちゃんの上位互換? いやあそこまで恵体じゃ……でも体力はあるんだっけタワマンのジムにハマる程度には。
(ストッキングじゃなかった凪さん、足元はあまり見ないようにした)
まだちょっと火傷の痕がね。
「涼一くん、気に入ったのなら他の子を連れて来てもいいのよ?」
「えっ、いいんですかそんな、ある意味ライバルに」「最初に一緒に来たのは私よ」
「あっ、そういう」「でも誰と来ても楽しめると思うわ」「そうですね、遊戯エリアとか陽菜ちゃんが」
そうか、他の婚約者とここでデートしても、
ここを教えたのは、最初に来たのは凪さんですよっていう、
ある意味で優越感みたいなのがあるのかも、まあ楽しければいいや。
「そういえば屋外エリアのあのタマゴって……」
などと薪能の時と違い感想を言いまくる僕、
ラーメンも食べ終わりさあ帰ろうとロッカーエリアに戻る、
荷物を取っていると見知らぬ大人のカップルがやってきた。
「凪! 凪じゃないの」
「えっ加奈子?!」「久しぶりねえ高校以来!」
「う、うん」「眼鏡かけてたから最初、わからなかったわ」
ぽっちゃり系女子と、
イケメン高身長彼氏だ。
「凪は今、どうしてるの? 疾風くんは??」
「もう、連絡は取ってないかな、今は普通に会社で、ね」
「そう、あんなに仲良かったのに」「加奈子は」「結婚するんだ」
とまあイケメンを紹介されるも心ここにあらず、
加奈子さんの話が長引きそうで僕もどうしたものかと思っていたら……
「ごめんね、会社の息子さんを送らないといけないから」
「あっごめーん、ねえ、ライン交換……」「じゃあね、お幸せに」
と、僕に気を使って?
さっさと離脱してくれた、
良いのかな、積もる話もあっただろうに。
(疾風くん、かあ)
凪さんの言っていた元婚約者かな、
そこにも触れられたくない感じだろう、
だからって僕を婚約者として紹介されたら、どうしようかと思った。
「さあ、駐車場はこっちよ」
歩いて行けない距離でもないが、
あえて社用車で来てみたんだよね、
誰にも邪魔されない車内空間がデートのアクセントです、みたいな。
「その、凪さん」
「BARエリアは凪くんがお酒を呑めるようになったら行きましょう」
「あっはい、って5年後じゃないですか」「そうね、料理も美味しいみたいよ」
なんだかクールな凪さんに戻っちゃった。
(……前の彼氏、まだ引きずっているんだろうか)
このあたりはまあ、
僕が凪さんとどうなりたいか、
という部分で僕の対応も変わってきちゃうのかな。
「凪さん今日はありがとうございました」
「今日はね、私も楽しかったわ、あのミュージアムも5年後には進化していそうね」
「万博の人気パビリオンみたいな感じでしたね」「行ったことあるの? 万博」「父さんが大阪のにガッツリ絡んでいたから」
僕も凪さんをデートに誘うんだよな、
今日の映像ミュージアムの凄さを体感すると、
本当に誘うのが『あそこ』で良いかちょっと不安に。
(その前にもう1度、凪さんにお任せでデート連れて行かれるんだよなあ)
明後日の日曜に、
ゴールデンウィークでどこも混んでいそうだけど、
いったいどこへ連れて行かれるのだろうか……???




