第116話 今度は凪さんが狙われたらしい
「坊ちゃま、足元にご注意を」
ゴールデンウィークに突入といっても初日水曜が祝日だっただけで、
今日明日は普通に学校である、そんなしとしと雨の朝、今日は眼鏡にメイド服の凪さんが、
学校まで傘をさしてお付き添い、隣で大きい傘の景香お姉ちゃんがちょっとぷりぷり怒ってる。
「だからこっちに入ったらいいのにぃ」
「いやでもせっかく凪さんが、メイド長がさ」
「私だってアルバイトメイドよ」「じゃあメイド長に従わないと」「んもう……」
その上の僕が命令を、
とか呟く景香お姉ちゃんは放っておいて、
昨夜の添い寝を思い出す、来たのは凪さんとケイさん。
(いやほんっと凪さん、じゃんけん強いよ)
結果をメモってるって言ってたもんな、
いやもう、あんまりにも勝者が偏るようなら、
くじ引きっていうかPCによる抽選にしようか、って絶対公平にするべき物なのかって話もあるが。
(そういや昨夜、ケイさんと話したのが……)
僕にとって難易度の高いデートと、
難易度の低いデートに連れて行くならどこ?
という疑問をベッドで投げかけたら、少し考えたのち……
「Advancedなデートはベースサイドストリート、low levelならお台場に自由の女神がアリマース!」
とか言っていたな、
でも手っ取り早いのは屋上でのアメリカ式BBQらしい、
準備として尋常じゃない量の肉を備えるので、会社の経費で買うとか、良いのかそれ。
(まあ会社の、社員の謝恩会とか理由は色々とつけられるか)
まだ小声でぶつぶつ言っている景香ちゃんにも聞いてみよう。
「あっそうだ景香お姉ちゃん、僕をデートに連れて行ってくれるとして」
「えっ、いいの?!」「僕にとって難易度の高いデートと低いデート、どこへ連れて行ってくれる?」
「難易度高いっていうのであれば私の実家へ挨拶に」「いやそれデートじゃないし」「そんなに嫌なんだ」
まあ、否定はしない。
「もっとこう現実的なデートを」
「そうね、なんだか豊島園っていう駅の前に、映画のセットみたいな……」
ブッブーッ
「うわ、リムジンだ」
思わず声が出た僕、
降りてきたのは初老の紳士、
恰幅良いな、葉巻なんか咥えてら、いやこれ映画の撮影?!
「ふう、やっと見つけた、そこのメイド」
凪さんに用みたいだ。
「はい、何でしょうか」
「前に1度見かけてな、その気品がもう只者じゃあない」
「そうですか、まだ24歳の若造ですが」「逆に掘り出し物だ、ギャラは倍出す、ウチへメイドに来い」
あー、ケイさんに続きまーたストーカーみたいなのが!
そういや以前、ビリヤード&ダーツ場でも凪さんスカウトされてたな、
あの時は芸能事務所だったけど……ここはちゃんと、一応の主人いや坊ちゃんである僕が止めなきゃ。
「いやいやいや、ウチのメイド長の倍って月500万じゃないですか!」
「なんだ、メイド長クラスしかもその若さで、適正価格じゃないか、決まりだな」
「駄目ですよ、ねえ凪さん」「はい、私は坊ちゃんの」「雇い主に連絡を取りたい」「お断り致します(キリッ)」
と僕はかっこよく?
決めたのち、先を急ぐ。
「調べればわかる事だ」
あっ、そうとだけ言ってリムジンに戻った、
引き際がわかっているというか、いやこれ本当に調べるのかな、
父さんに後で連絡しておこう、さて、もうちょっとで景香お姉ちゃんのお友達と合流地点だけど……
「それで景香お姉ちゃん、難易度が低い方は」
「なんかね、一緒に原宿と渋谷を歩いてみたいなー」
「あっ、そっちね」「百歩譲って池袋とか品川ゲーなんとかウェイでもいいけど」「高輪ですね」
譲ってそこかーっていう、
あと凪さんの生真面目メイド長っぽいツッコミが素敵だ。
「「おはよーーー!!」」
「あっ志保、ひろみ、おはよう」「本間さん石原さんおはよう」
「涼一くん、景香と仲良くしてるー?」「ははは」「むしろ仲良くしてよ!」「もう、ひろみったらぁ、ね涼一」
合流地点で声をかけてきた2人、
この景香お姉ちゃんの友達にもデートについて聞いてみるかな、
ってもうすでに、学校帰りにケーキ屋っていう軽いデートはしちゃったけど。
(僕もJリーグ観戦以外で、程よいデートを考えなくっちゃ)
んーと、凪さんとだったら……天王洲アイル?
何があるのかよくわからないけど、僕の想像する大人デートの地ということで、まあ。




