第2話 次々とお姉ちゃん達が僕の前らしい
高校生になって連れてこられた新しい住居、
47階建てタワマン最上階でいきなり紹介された長い黒髪の女性、
まさに大人の美人、田中凪さんを前に僕はどきどきしていた。
(なぜこんな綺麗なお姉さんが……)
昨日まで世話してくれていた、
おばさんメイドからしてみたら、
って比べたら失礼か、とにかく緊張しちゃう。
「涼一、奥へ」「あっはい」
父さんに促されて、
田中さんの先導で奥へ、
新築の匂い、そして広いリビングへ案内される。
「Welcome to my home!」
「あっ、こ、こんにち、ハバナイスデイ」
「I was looking forward to meeting you」
ど、どどどどどうしよう、
いきなり金髪女性が現れた、
健康的なお姉さん、アメリカンだよね?
「初めまして、遠藤涼一です」
「はい初めまして、佐藤ケイよ」
「彼女はハーフだが生まれも育ちも日本だ」「よろしくね」
ほっ、良かった、
通常会話が英語検定だとさすがに困る、
いや勉強にはなるんだろうけれども、にしても凄いお身体だ。
(恵体っていうやつだよね、結構むっちむち)
特に太ももが良い感じ、
田中さんの長袖長スカートと対象的に、
こっちはTシャツにタンクトップ、ってあんま変な所は見ないようにしなくちゃ。
「ちなみに佐藤さんは、ここへは何をしに」
「私が説明しよう、副社長だ、そして涼一の世話係も」「佐藤さんも?!」
「I'll do anything. Anything for you」「涼一、新しく作った会社の説明は必要か?」
長くなりそうなので……
「端的にお願いします」「海外と仕事をするにあたり、やっぱり東京にも拠点は欲しい、と同時に別の事もやりたい」
「別っていうのは」「最初に造った大阪拠点の会社は古巣のダミーというか衛星会社というか、でもこっちは別ルートだ」
「内容的には」「海外から日本で何かやりたい企業の案件、その窓口、しかも身軽にやれて適した相手と結ばせる、場合に寄っては企画に絡む」
それって父さん個人でやれる事なんだろうか、
と思ったけどおそらく、やれる所との繋ぎ役なんだろう、
今まではおそらく父さんの居た総合商社の関係しかコネを繋げられなかったのが、この会社でそれ以外ともコネクト出来る、と。
「大体わかりました、それで国際的な感じの佐藤さんですか」
「社長の田中君は八か国語喋れる、アメリカの大学に4年居たからな」
「とはいっても卒業は出来なかったんです、それを遠藤様に拾って頂いて」
なるほどね、
父さんは世界中飛び回っていたるから、
その中で拾ってきたのかも知れない、さすがだ。
「じゃあ他にも色んな国の人とか」
「いや、みんな日本人だ、日本から海外で何か取引や企画をしたいって案件も取り扱う」
「ええっと、タワマンの一室を会社にしても良いんでしたっけ」「それは別で用意してあるが、勤務はここだな」
いいのかそれ、
まあリモートワークみたいなものか。
「ここって具体的な部屋とかあるんですか」
「ああ、パーティールームを職場にする、オフィスルームに」
「Come over here」「あっはい、佐藤さん、やっぱり英語で話した方が良いですか」「無理しなくて良いわ」
案内された広い部屋、
いやほんとパーティールームだな、
大きなテーブルに、囲むようにそれぞれノートPCが置かれている。
(6台かあ、仕事の書類とか道具とか、中央には固定電話だ)
まだ誰も座ってないのかな、
と思ったら居た、めっちゃ小さい女の子が!
小学生が遊びに来てる、と思ったら立派なオフィスガールっぽい服装だ。
「あらおはようございます遠藤さん、それと、この子ね」
「ああ、息子の涼一だ」「はじめまして、遠藤涼一です」
「丸瀬陽菜よ、最年長の25歳、身長は小学生の時に止まって129cm、体重はりんご100個分よ」
どこぞのマスコットキャラクターみたいなこと言っている。
「ええっと、最年長?」
「ええ、なぎっちが24歳、おケイさんが23歳だから」
「田中さんと佐藤さん、が……で丸瀬さんが」「大人のお姉さんよ」
椅子の後ろにある低い脚立は何なんだろう。
「涼一、彼女は事務員だ」「書類系ですか」
「ちなみに身体を使う仕事も得意よ、ここ来る前は遊園地で着ぐるみの中に入ってたの」
「あー、そういう」「もちろんこっちへ来てからも、たまに繁忙期はヘルプへ行くつもりよ、バイクで」
どんなバイクなんだろう、
足は届くのだろうかって心配が。
「お姉さんとしてお世話係もするわ、よろしくねリョーちゃん」
「ええっと父さん、父さんの会社の社員で、僕の世話係って、いいの?」
「公私混同だな、でもそれなりのギャランティ、給料は出している」「えええ」
いいのか、
それって本当にいいのか。
♪プルルルルル……
あっ電話だ!
丸瀬さんが机に乗っかって電話を取った、いやそれいいのか。
「はい『クリティカルヒット・ザ・ワールド』です」
そんな社名なんだ!
「はい、はい、今ちょうど」「変わろう」
父さんが直々に電話を変わった、
どうやら知り合いが会社設立おめでとうってかけてきたらしい、
手短に話して切った、うん、平日昼はここで仕事をするんだなあって感じだ。
(父さんはめったに来ないだろうけどね)
そして部屋から出る父さん。
「では、次の世話係を案内しよう」
オフィスのテーブルを見た感じ、
ひょっとして、いや、おそらく……あと3人?!




