第1話 高校生活をタワマン最上階らしい
「うっわ、このタワマンに住めるの?!」
「ああ、最上階だ」「ってこれ何階建て?!」
「47階だが」「そんな所に……」「ロビーのフロントで受付するぞ」
父に連れられてやってきたタワーマンション、
しかも新築、全てが豪華、きらびやか過ぎるし、
何より行き来する住民らしき人達のお上品なこと!
「ようこそいらっしゃいました、それでは指紋認証の登録をお願いします」
「あっはい、って話は通ってるんですか」「すでに父さんは済ませてあるからな」
「顔写真も頂いております」「この間、撮って来いって言われて渡した」「涼一の細かい手続きもほぼ終わっている」
全ての指で認証をして貰い、
続いて紙に暗証番号を書かされる、
ってこれ8桁もある、普通こういうの4桁では。
「お好きな番号を、ただし生年月日を西暦から、はお避け下さい」
「んっとじゃあどうしよう」「当マンションにいくつかある認証ゲートで使うので憶えやすいのを」
「語呂合わせとか?」「連番や全て同じ番号でなければ何でも」「じゃあ応援してるJリーグチームのファンクラブ番号にしよっと」
手続きが終わると顔写真付き入構証というのを貰った、
今日の日付、4月1日発行……首からぶら下げられるようになっている。
「では遠藤涼一様、最後に確認です、世帯主様のお名前は」
「ここに居る父さんで良いんですよね、遠藤達保です、僕はその一人息子です」
「はいありがとうございました、認証ゲートは要所にあります、指紋認証、カード認証、暗証番号認証のうち2つをお願いします」
あーこれ3つのうち2つでいいのか、
逆に2つも必要になる、セキュリティ凄いな、
カード失くしたり手袋ガッツリしてたり暗証番号忘れても何とかなるのか。
「では遠藤涼一様にも当マンションの施設案内書を」
「あっはい、ありがとうございます、って分厚いですね」
「お友達を呼ぶ時などは1日限りの入構証を発行致しますので、こちらへどうぞ」
手続きを終えて認証ゲートを通りエレベーターホールへ、
凄い数だな、一番奥に41階以上専用のエレベーターがある、
そこへ乗り込むと内側に映像が、今日の天気とか文字も流れている。
「すごいタワマンだ……」
「父さんの元居た会社も共同で造ったからな」
「そのコネで最上階に部屋を」「退職金も使って代金は全て支払った」
上昇している最中に色々と尋ねてみる。
「またメイドさんが常時2・3人居る感じですか」
「いや、これからの高校3年間は『メイド』という職業では居ない」
「えっじゃあ」「あえて言うならそうだな、世話係とでも言うか」「メイドでは」「説明は上で」
シングルファーザーとして育ててくれた僕の父さん、
とはいえ元居た総合商社(本社は大阪)の東京支店でずっと働いていて、
執行役員とかいう地位で世界中をまわって仕事しまくっている、それでも月に1度は日本に帰ってはくる。
(ただ、帰るのが大概は大阪なんだよな)
だから中学時代、
会えるのは年3・4回で、
その間は前に住んでいた大きな屋敷にメイドが複数居て世話してくれていた。
「そういえばあの屋敷、もう」
「そのものが老朽化してたからな、古巣へ売ったから更地にされ、周辺含めてマンションになる」
「まあ、愛着が無かった訳じゃないけど、ちょっと寂しい」「私が由紀と住んでた家だからか」「それは別に」
僕を産んだ引き替えに亡くなった僕の母さん、遠藤由紀……
身体が弱く周囲に反対されたがどうしても子供が欲しいと無理した結果らしい、
亡くなる直前に僕の手を握ってくれたらしい、入院時の映像はもう何度も何度も見た。
(とか話しているうちに、もう到着だ)
降りると隣に鈍行のエレベーターもちゃんとあるな、
40階から下も1階毎で降りられる、同じマンションに友達が出来たら、
これに乗って行けば良いのだろう、混む時間帯は待たされそうだけれども。
「ここも認証だ、監視カメラもどこかにあるらしい」
「あー、泥棒とか入ってこないように」「ロビーに寄ったから今は連なって一緒に入っても大丈夫だろう」
「下の認証と人数が合わなかったりしたら」「AIが察知してフロントに連絡が行く、そのあたりは万全だ」
AIが映像でわかるなら、
それだけで自動認証してくればいいのに、
と思ったがさすがにそこまでの精度は無理なのかも。
(工場の自動化が完璧なら、今頃従業員は居ないよねっていう話みたいな)
という訳で認証が終わって中の廊下へ。
「なんかすごい、豪華すぎる」
「最上階フロアは4世帯のみだが、
常時住むのはウチだけらしい、あとは海外の投資家が2件と、大阪が住居の者が東京に来た時用、まあ古巣の常務だが」
それを言ったら父さんも同じか、
大阪で別に住居があって、東京に元居たメイドもそっちへ吸収だとか、
もちろん双方、何人かは辞めたらしく、ウチでもお別れ会っぽいことはした。
「さあ、最後に入る時の認証だ」
「じゃあこれは僕がやります、カードと指紋で……」
ピッ……ピッ、ガチャッ!!
「あっ、ちょっと自分で開いてくれた!」
入ると玄関に灯りがついていて、
広い広い、そして女性ものの靴が並んでら、
すでに居るのかお手伝いさん、て1つめっちゃ小さいのがあるな。
「ええっと、お手伝いさんに子持ちでも居るんですか?」
「いや、それでも25歳だそうだ」「えええええ」「まあそういう女性だ、成長が止まった系の」
「じゃあ、触れない方が」「それはそうと、懐かしい子も居るぞ」「えっ?!」「会えばわかる」
そう話しているうちに、
玄関にやってきた女性に僕は息を呑んだ!
「遠藤さん、おかえりなさい、それと……」
「ああ、息子の涼一だ、涼一、彼女がお手伝いのトップだ」
「あっはい、はじめまして、遠藤涼一です」「田中凪と申します」
深々とお辞儀する美人なお姉さん、
いやこれお手伝いさんなんてレベルじゃないんですがー?!
「田中君はこっちの作った私の会社、その社長をやって貰う」
「はい、それと同時に涼一さんの、いえ涼一くんのお世話係の筆頭を」
「お世話って」「ただの世話じゃないぞ、まあそれは全員と会ってからだ」
ただのお世話じゃないって、
いったいどういうことなんだろうか……?!




