裏 第二章 5人目 橋本園美渡の回想 スタートダッシュは成功、あとはいかに早くゴール出来るか
「ふふ、かなりのリードをしているわ」
涼一君の友人たちが帰った夜、
私、橋本園美渡はベッドの中で、
これまでのことを回想し、手応えを感じていた、そう、かなりの優位を。
(アピールは成功ね、6人の中では選考しているはず)
その理由を思い浮かべる、
まずはいち早く両親と会わせられたこと、
しかもこちら側の実家に……涼一君の従姉は別にして。
「ふふ、これは大きいわ、だって互いの両親公認になったのだもの」
しかも涼一君自ら来てくれたようなもの、
この初動は予想外ではあったものの良いスタートダッシュ、
思い起こせば得意のポールダンスも早々に見せられた、これはもう距離は近くなっている。
(お尻もしっかり見て貰えたわ、ええ、それが何か問題でも?)
両親を、工場を助けるため、
姉を支援するため、借金を返すために、
私は喜んで、大喜びで涼一君に売られている……
「デートも楽しかったわ、ううん、これからもっとしなくっちゃ」
添い寝も何度もした、
料理の手応えもそれなりにある、
観る人を選ぶプロレス観戦も、そこまで悪い反応じゃなかったわ。
(工場に対する嫌悪感とかも、今のところはそこまで感じない)
むしろ理解しようとしているとすら感じる。
もし興味なくても、最悪無反応でも、支援を続けて貰えるならそれで良いわ、
この先、工場にまたいつ何が起こるかわからない、そのためにも私が、涼一君に選ばれないと。
「ふぅ、涼一君のご機嫌取り、かぁ」
一緒にJリーグを観に行くのは良いとして、
これをすればもっと距離が近くなる、という決定的なこと……
いっそ押し倒す、は私の部屋でないと即失格になる可能性があるのよねぇ。
(他のみんなは、どう動くのかしら?)
田中凪さんはすでに1度、婚約者を持った経験があり、
佐藤ケイさんはランジェリーキャバクラで男性相手の接客経験があって、
丸瀬陽菜さんは子供相手の接客経験が、あと何気にポテンシャルが高い。
「ふっ、それぞれの武器、ね」
野沢麗さんは声優の卵だった経験に加えてあの反則ボディ、
小泉景香ちゃんはイトコという実は私よりスタートで有利なポジション、、
いやむしろライバルの居ない期間があった、それはすごいアドバンテージ。
(そして私の武器はお尻とダンス、じゃあ心許無いわね)
一緒にヨガスクールへ通うとか、
私がプロレスデビューして涼一君がマネージャーとか、
いっそ涼一君がスポンサーでポールダンス教室を始めるとか!
「って上手く行けば何も苦労はしないわね……ふうっ」
大きなため息をつく私、
やはり早朝の、一緒のジョギングを誘いたい、
一緒に都民マラソンや山昇りを2人でするとか?!
(近いウチに、涼一君とデートについて詰めましょう)
目下のところは登校の付き添い、
あと近いウチにBBQの手伝い人員確保、
夏の花火大会は工場から見られる特等席に涼一君だけ呼びたい。
「それはさすがに無理よねぇ……」
とにかくリードはそう長くは持たないでしょう、
今の時点で突き放せる方法があるとしたら涼一君の方から何か……
そうだわ、デートでもっと下町案内をすれば良いのよ、もんじゃ焼きを焼いてあげたり。
(2人で花やしきも良いわね)
地の利を生かす、
この手を忘れてはいけないわ、
涼一君を上手く誘って、下町に溶け込ませちゃいましょう!
「そうすれば、私色に染まってくれるはず、ね、ふふふ」
まずはゴールデンウィーク、
そんな時期でも空いている穴場、
一緒に観て回るだけで楽しいお店とか結構ある。
(と同時に、私も涼一君に染められたいわね)
……そういう意味ではもう、
ライバル5人を気にしないのも手かも知れない、
決められた共同作業や当番以外は、涼一君のことだけを考えれば良い。
「デート先が被ったとしても、相手は私っていう特別があるもの」
うん、スタートダッシュのその後は、
周囲の事をまったく気にせずマイペースで、
涼一君と一緒に過ごす時間をどうするか考えれば良いわ。
(結局ゴールインしたら、他のみんなも祝福してくれるはずよ)
まずは涼一君一筋、
涼一君のための涼一君だけを考えた、
まさに涼一君の絶対的パートナーになるべく道を……寝ながら考えましょう。
「ということで涼一君、おやすみなさい、いつか、一緒の夢を見ましょう」
そう、遅くとも、
3年以内には……ね。




