裏 第二章 4人目 野沢麗の回想 これまでの、そしてこれからのデートその行き先は?!
「1度、涼一くんと~、本当に登校したいな~……」
眠る前、枕元に置いてある見守りロボ、
自走式会話可能ロボット『ゼロ』に話し掛ける、
もちろん自分用なので返事は無い、逆にハッキングされていたら、きっと犯人はストーカーでしょう。
(これで一緒に、Jリーグを観に行く訳にはいかないし……)
VIPルームを抑えてくれるそうなので、
その時は社用車で運んで貰えば観戦には付き合えそう、
遠藤さんに聞くとVIPルーム専用のグッズ売りワゴンもあるという話。
「ほんっと、涼一くんと結婚したら~、海外移住したいかも~」
そしたらもう遠慮なくあちこち一緒に出掛けられる、
アメリカやヨーロッパのリトルトウキョウへ行けば……
日本国内でも、どこかひっそり暮らせる所が、でもあまりに田舎は……
(ってそれ、まさにここよね、都会の隠れ家)
セキュリティは最高レベル、
建てる時ストーカー対策も念頭にいれてたと遠藤さんが言っていた、
あとなんでも千葉とか埼玉とか神奈川に、関係者以外は入れない街を試験的に造るプロジェクトもあるとか。
「でも~、涼一くんが楽しめないと~、意味ないわよね~……」
弟にまでかなり気を使ってくれている涼一くん、
いえその感謝に関しては『涼一さん』って言わないといけないわね、
私自身だけでなく、弟にあそこまでしてくれるのは、きっと『家族』になることを意識して……?!
(家族になったら、涼一くんも被害を受けないように、しなくっちゃ)
何せすでに『自称婚約者』ことストーカーが何人も居る、
私の目撃情報が出るのも時間の問題かも知れない、それでも、
今の内だから出来ることを涼一くんとやりたい、私の新しい青春……
「声優になれないなら、お嫁さんになろう」
キリッと言ってみる、
実際、声優の研修生になれたこと、
ほんの短期間とはいえジュニア契約を結べたこと、それでもう良いわ。
(それに、声優って免許が要る訳じゃないから、Vチューバ―だって出来るわ)
お給料も溜まって、
準備も揃えられるようになった、
今の環境が落ち着いたら、始めようと思っている。
「Vチューバ―と~、お嫁さんは~、両立できますよね~?」
すでに眠っているであろう、
愛しの涼一くんを心の中に出現させて語りかけてみる、
有名になって、あのVチューバ―は実は俺の……と涼一くんに優越感で浸らせたい。
(逆に目立つなって言われたら、どうしましょ)
いや、あくまでもVチューバ―は正体出さないから!
声優だって元々は裏方のはずだったのよね、遠藤さんに言わせれば、
昔の声優は手タレ足タレみたいなものだったって……ちょっと違う気もするけど。
「とにかく今は~、涼一くんの興味を引かないと~」
見守りロボの次の作戦、
涼一くんにだけ聞かせるボイスドラマを作るとか?
私の見た目だけでなく、声で涼一くんの脳内を浸食するとか。
(胃袋を掴む、ならぬ耳を、鼓膜を掴む、かしら)
いやそんな耳かきエステみたいな、
確かにヘッドスパで働いていたことあるけど、
私個人の指名がめっちゃ来て、その目的に勘付いてすぐ辞めたわ。
「それは~、そこは枕じゃないですよ~」
みたいな。
とにかく今、私がここで出来る最大限のことをやって、
ストーカーに負けないで人生を、そして恋を楽しみたい、ただそれだけ。
(押し倒せば一瞬で終わる、勝てる、なんて妄想も、よぎったけど……)
逆に秒で振られるリスクもある、
ここを追い出されて大阪のタワマンへ行ったとして、
両親とも本格的に別れることになる、弟は……知らない。
「リョウイチ、ボクヲ、オヨメサンニ、シテクダサイ」
見守りロボを持ってアテレコしてみる、
いっそこれに小さいセーラー服を造って着せてみようかしら、
いやこのロボットだけ気に入られて持っていかれても……私も貰ってもらわないと。
(あとはやっぱり、邪魔の入らないデートの場所……)
猫カフェの個室やカラオケボックス以外、
夏休みとかには2人っきりで旅行、はまだ許されないわね、
ラブホテルもしかり、あっ、2人きりで屋形船の個室とかどうかしら?
「誰にも邪魔されない~、貸し切りの空間でデート……ですか~」
本当に誰も来ないような場所の山登り、
いや何かあったらどうするのよ本当にっ!
あとは泊まれる図書館ってあったわね、でも未成年の異性とは無理そう。
(……本当に行き詰ったら、遠藤さんに相談しようかなぁ~)
でもそれって下手すれば、
婚約者の内1人に肩入れするって事になっちゃうわよね?
だったらまだ、丸瀬さんに相談した方が……あっ、ネットで調べましょ。
「スマホで~、『デート ふたりきり 邪魔されない』 検索~」
……やっぱり普通に思いつく事しか出てこない、
お家デートとかお奨めされるし、これAIに聞いてもきっと同じね、
外は、無人島で釣りとか、って私やったこと無かったわ、涼一くんが食いつけば。
(他は……寝ながら考えましょ)
ここでひとつ、
重要なことに気が付いた。
「本人に聞けば!!」
そう、涼一くん本人と相談するという手!
閃いたそのアイディアに安心し、胸を撫で下ろし眠る私だった……。
(そうね、一緒に仲を深めていきましょう、涼一さん、涼一くん……)
あ、あと『泊まれる水族館』もあった記憶が!!




