第112話 GWは凪さん強化週間にするらしい
「凪さん今朝はスーツでバッチリですね」
「ええ、涼一くんを送ったらそのまま打ち合わせに」
「やっぱり忙しくなっちゃうんだ」「だからゴールデンウィークは涼一くんとの仲良し強化週間ね」
その言葉に僕と腕を組む景香お姉ちゃん。
「だったら私は3年間、強化週間よ」
「いや強化って」「6年分を取り戻すの、ね?」
「とは言っても、あと3年だよね」「結婚すればあと60年以上よ」
取り戻し過ぎだよ、
ただ、そう考えると僕は選んだ相手と、
一生を伴にする覚悟が必要だ、15歳なりに。
(もちろん、やり直しは出来るだろうけど……)
現に凪さんはやり直しでここへ来ている、
そして本人は知らないだろうけど景香お姉ちゃんとも、
ある意味ではやり直し……を僕は受け入れるかどうかという話なんだけど。
「HEY! リョーイチお先~」
「あっケイさん、ママチャチで行っちゃった」
「リョーちゃーーん!!」「陽菜ちゃんまでバイクで」「はいこれ」
丸っこいのを投げてきた!
「リョウイチ、イツモ、イッショ」
「あっゼロ! ということは」「はい~、今日は奪われないで下さいね~」
「れいさん、いいんですか仕事中に」「電話が来たら~、ちゃんと受けますよ~」
まったく何をしているのやら。
「「遠藤くーん!」」
あっ、今日は景香お姉ちゃんのクラスメイトでお友達、
本間さん、石原さんが僕に声をかけてきた、いつもは景香お姉ちゃんになのに!
「ど、どうも、おはようございます」
「そういえばゴールデンウィーク、どうするの?」
「私たちそれぞれ部活なんだけど、ねえ景香」「私もちょくちょく誘われててー」
あー巻き込まれるうううぅぅぅ……
「僕も僕でそれなりに予定が」「景香と?」
「私は涼一に付き合いたいけど」「涼一くんと付き合いたいって?」
「んもう志保、ひろみ……涼一、部活の助っ人の無い日は空いてるから、スケジュール決まったら教えるね?」
やはり近さという意味ではアドバンテージは景香お姉ちゃん、
年齢も、クラスも、血も、そしてこれまでの関係も一番近い、
でも景香お姉ちゃんは知らない、決定的にとんでもなく分厚い壁を作った、あの事件を……。
(本当に言わなくて、いいのかな)
僕が距離を詰めたいなら言うべき、
かも知れないけど僕からは言いたくない、
まあ僕にまったく非が無い訳じゃ、いや考えるのはよそう、思い出したくない。
(となると、僕の『景香お姉ちゃんルート』は、無くなっちゃうんだよなあ)
その場合、
やはり一番近いのは凪さんか、
気を使って距離を少し取ってくれている。
「ごめん景香お姉ちゃん、メイド長ともうちょっと話すよ」
と、腕が組めるくらい隣へ。
「良いんですか坊ちゃん」
「あ、ごめん、僕がメイド長なんて言っちゃったからその口調に」
「メイドチョウ、カッコイイ、ステキ、メガネハドウシタ」「こらゼロ!」
しゅたっと装着した凪さん。
「これでいかがでしょうか」
「うん、まさしく女社長って感じ」
「……褒め言葉ですよね?」「凪さんが素敵ってことですよ」
ってこの会話、
景香お姉ちゃんやその友達には聞こえてないよね?
心なしかちょっと照れてくれているような、9歳も年上なのに。
「しっかり勉強して下さいね」
「はい、わからない所は教えて下さい」
「私で教えられる部分でしたら、いくらでも」
という会話をしていたら学校に到着。
『ブッ、ブーーッ!!』
あっ、見慣れた車がやってきた、
そして運転しているのは、もちろん……
「ふふ、涼一君」
「あっ、えみとさん!」
「社長を回収に来たわ」「じゃあ涼一くん、行ってらっしゃい」
そして、えみとさんの運転する社用車へ。
「みんな行っちゃったなあ」
「リョウイチ、ワタシハ、イルヨ!」
「うん、ゼロは一緒に行こう」「ヤッター!」
いやほんと、
最初は朝の先導って必要?
とか思ったけど、これはこれで楽しいや。
「涼一!」
「あ、景香お姉ちゃん、それじゃっ!」
「んもう」「景香、大丈夫?」「逃げられちゃったけど」
……逃げたんじゃない、
まだ誰も、1人に選んでないだけなんだ。
(そう……まだ、ね)
次でこの章も終わります、
いや涼一サイドはで、まだそれぞれの個別話はありますけれども。




