第111話 僕は気付いてしまったかも知れないらしい
「どうしたのリョーちゃん、月曜朝から考え込んじゃって」
「いやその、うーん」「涼一くん、私の朝食に何か、問題でも」
「凪さんそれは無いです、昨夜ぐっすり寝て、陽菜ちゃんに脚立に乗って起こして貰って」
そう、文句は無い、
だけど僕は気付いてしまったかも知れない、
これ、僕って婚約者たちに依存させられているのかも!
(まあ料理や洗濯の家事は、普通のお手伝いORメイドの仕事なんだけれども……)
毎朝の登校につきあってくれる、
先導という名の事実上のデート、
そして帰りは拉致られてまたしてもデート。
(僕の休みも、勉強とJリーグ観戦以外はスケジュールをデートで埋められていく)
いや婚約者から相手を決めるために重要なのはわかる、
本当に嫌なら29階へ逃げれば済むんだけれども、最近はその前に添い寝係を決められる、
そのうえ眠る前のマッサージ、凄く心地よく眠れるけど、毎日続くと婚約者のマッサージ無しじゃ眠れなうなりそう。
「リョーイチ、どんな心配事アリマスカ?」
「このまあ行くと、僕は駄目人間になってしまうかも」
「では~、一緒に料理や掃除の練習をしましょうか~、結婚後の~」
それは前々から話に出ていたけれども。
「ふふ、私は専業主婦でも良いわよ?」
「そんな魅力的な提案を」「涼一、だったら私も!」
「景香お姉ちゃんは多分、栃木で半端ない仕事量やってたよね」「それに比べたら涼一1人なんて!」
……そうだよな、
結婚相手は1人しか選べない、
だからこの、6人体制のハーレムは今だけ。
(むしろ必ず6人の誰かを選ばさせられる、そのための一致団結?!)
言えば時間はかかるが入れ替えは可能だ、
それは誰が選ばれるより今の6人にとっては最悪のケース、
それを避けるために集団で僕を依存させる、沼にはめる……という作戦なら、僕は気付いてしまったと言えるだろう。
「ちょっと今夜は、1人で寝ようかなと、下で」
「涼一くん、人あたりに疲れちゃったのかしら?」
「いやまあ考え事を」「男のセーリですCAR」「いや誤解受けそうなこと言わないで!」
まあ男のロマンはするけれども、多分。
「リョーちゃん相談事なら最年長の私よ、3度までなら私の部屋に入っても何もしないでいてあげる」
「じゃあ4回目は」「2人っきりで朝まで帰さないでしょうね」「ベッドでプロレスごっこでも?」
「では~、私が実況を~」「ふふ、丸瀬さん『2人っきり』って言ってるじゃないの」「涼一、私もまぜて!」
大家族での兄弟プロレスごっこはお約束なんだろうか。
「あっそうだ今のうちに、金曜夜のJリーグ国立競技場、一緒に行ける人は」
「HiHi!!」「お姉さんも平気よ」「ふふ、昨日のお返しに呼んで貰おうかしら」
「えみとさんそうだね、あと1人いけるかも」「涼一、私はちょっと微妙」「前回一緒だったから景香お姉ちゃんはお休みで」
一応、父さんに確認を、ってその前に。
「凪さんは」「また留守番が入るかも知れないの」
「なんだかごめんなさい」「いいの、その分、あらかじめ決めてあるデートはきっちり行くから」
「じゃあ今回は、えみとさんとあと……」「席が残り1つで2人行きたいなら、自腹にさせれば?」「うーん」「YES!」「私も良いわよ」
ということで金曜は4人観戦になりそうだ。
「ゴールデンウィークは凪さん、時間取れるんですよね?」「ええ、空けるわ」
「じゃあみんな、ちょっと悪いけど社長業で忙しくなる前に、凪さんとデート連発します!」
「リョーカイ!」「順番ね、私にも回ってくるのよね?」「陽菜ちゃん、もちろん」「わたしも~」
れいさんは早いうちか遠い所が良いんだよなストーカー対策で。
「ふふ、田中さんの計画通りかも知れないわよ?」
「あっえみとさん、気付いてしまいましたか」「涼一、そうなの?」「さあ」
「決めるのは涼一くんよ、スケジュールも、結婚相手も、最終的にはね」「凪さん、まあそれはそうですが」
いやほんと、
手の平で転がされているとしてもだ、
その手の平は6つもあるんだよなぁ……。
(ひょっとしたら、更にそれさえ父さんの手の平の上かも!)
ということを気付いてしまったとしても、
僕にはどうすることもできない、というかどうもしない、
でもこのまま行くと『添い寝以上』に移行するのは、時間の問題かも知れない。
(確かに『身体の相性』というのは聞いた事があるな)
まあいいや、
さっさと朝食を頂いて、
登校時に陽菜ちゃんに、ちょこっと相談しよう。
「あっ、この明太子、美味しい!」
「これは下のスーパーじゃなく通販よ」
「凪さんのお取り寄せだ!」「涼一くんと食べたくて、ね」
これはケーキデート、
良いケーキをご馳走したくなっちゃうなぁ、
さすがにホールケーキ丸々貰っても困りそうだけれども……持ち帰ればいいか残りは。




