第108話 どうやら聞いてはいけないことを聞いてしまったらしい
カンカンカンカンカンカン!!!!!
「26分18秒、サンダースプラッシュでジャッカル選手の勝ち、
ファット飯島&ザ・ジャッカルのタッグが新チャンピオンとなりました!」
「飯島さーん、やりましたぁ!」「よくやった、みんな、獲ったぞぉーーー!!」
メインイベントのタッグマッチ、
選手権試合は団体エースですでにシングルチャンピオンの、
ファット飯島さんがえみとさんの教えてくれた『ルチャリブレ』の日本人レスラーと組んで勝利した。
(あ、飯島さんがマイクを取った!)
そしてレフリーにベルトをつけて貰ってら。
「今日は超満員の観客ありがとう!」
いやいや全然、半分も埋まってないんですが!
「いつも観に来ているファンも、今日初めて来てくれたファンも、
これからもプロレスリング・マキシマム、毎月やるので応援してくれ、
そしてなんと! 夏には月に2回やる事が今日、決定した、みんな、わかっているよな?」
地味に『おおー』の声がちょっと聞こえてきた。
「ということで毎回恒例のヤツでシメたいと思う、みんな立って立って!!」
僕らもえみとさんに促されて立つ。
「いくぞーーー!! スリー! ツー! ワン! んーーー……マキシマーーム!!」
腕を突きあげるみんな、
もちろん僕も付き合う、うん、無料招待だからね。
「ありがとーーー!!!」
こうして大会は、
無事に終了したのだが、
終わって客席にまだ座る僕にえみとさんが。
「ふふ、涼一君、初めてのプロレスはどうだった?」
「んっと、言いたい事はあるけど、まずケイさんは」
「excitingでしたネー、ド迫力でぶつかり合いが見れマシター」
うん、無邪気に喜んでいたな。
「陽菜ちゃんは」
「私の脚立が凶器に使われたわ」
「後で戻ってきましたけどね」「壊れてなけりゃいいけど」
だから入れてくれたのか、
なんとなくこの団体は『インディー』寄りなのがわかった。
「ふふ、それで涼一君は?」
「あのー、これ聞いて良いのかどうかわかりませんが」
「何でも聞いて良いわよ? ふふっ」「本当ですか? じゃあ、ぶっちゃけ聞きますね」
うん、ここははっきりさせておこう。
「さあどうぞ」「あの観てて思ったのですが、プロレスって、実は」「さあ出口へ行きましょう」
「え?!」「出口でレスラーの皆さんと握手出来るわよ、ふふふ」「は、はあ」「リョーイチ、行きまSHOW」
「陽菜ちゃん」「つまりは、そういうことよ」「はあ」「選手の列と、スルーして早く帰れる列があるみたいだわ」「こっちよ」
えみとさんに促されて選手の待つ列へ、
前の女の子は一緒に写真獲ってるみたい、
あと買ったグッズにサインを貰った大人も。
(……いっそ飯島さんに聞いてしまおうか)
どうやら僕らが列の最後みたいだ。
「おお、お嬢のフィアンセ! どうだった試合は」
「はい飯島さん、ミックスドマッチっていうんでしたっけ、
女子と男子の混合タッグマッチは、少しどきどきしました」
股間攻撃とか。
「真面目な戦いだからな?!」
「あっはい、それで1つ質問良いですか」
「おう聞け聞け、なんでも聞け、必ず答えてやる」
うん、イケそうだ。
「あの、プロレスっていうのって、実は」「わかった!」
「え?!」「よく聞かれるんだ、いつも聞かれる、ウンウン」
「ですよねー、プロレスって実は」「痛くないんじゃないか、だろ? かけてやるよ」「ええっ?!」
太ましい腕で、
僕にヘッドロックを!!
「いででででででで!!!!!」
「どうだ痛いだろう、プロレス技っていうのは痛いんだ、わかったか?!」
「痛い痛い痛い、そ、そうじゃなくって、聞きたい事は、ってギブギブギブ!!!」
結局、うやむやのまま解放された、
会場を去る僕たちに、飯島さんたちは、
なぜかにこやかな笑顔だった……あぁ痛かった。
「ふう、最後のは何だったんだ」
「体験プレイですネー」「リョーちゃん、余計なこと聞くから」
「……もう良いですよね、駐車場につく前に確認ですが、プロレスってあれ実は、勝敗が前も……」
とここで、えみとさんが、
僕の身体にからみるいてきた?!
「っていたたたたた!!!」
「ふふふ、これが『コブラツイスト』よ」
「な、なんでー?!」「またプロレスが痛いかどうか、疑問だったみたいだからよ、ふふふふふ」
誤魔化してる、
これ絶対、誤魔化してるよおおおおお!!!
「結局プロレスって、やおちょ、いたぁーーーギブギブギブギブギブゥー!!!」
「ふふふふふふふ、うふうふ、うふふふふふ、うふふふふふふふふ、ふふふふふっ」
結論:どうやら聞いてはいけない事を聞いてしまったようだ。




