第107話 プロレスにはメジャーとインディーがあるらしい
「プロレスのリングって、結構ちっちゃい、いや狭いんですね」
「ふふ、でもロープがあるし、コーナーを使った立体的な攻防もあるわよ?」
「あー、なんか空中をクルクル回る覆面レスラーとかテレビで」「それはルチャリブレね、ふふ」
えみとさんに連れてこられたプロレス会場、
凪さんは1件、連絡待ちがあるらしく自宅待機、
れいさんは迷ったあげく人目を気にして自重、景香お姉ちゃんは部活の助っ人なので……
「professional wrestlingなのデスネー」
「ちょっと最前列じゃないの、凄い迫力ね」
「ふふっ、丸瀬さん脚立持ち込み許可出て良かったわね」
というケイさん陽菜ちゃん、
客席は200くらいかな、まだ僕ら以外あんまり入ってない、
リングの上では若手っぽいのが練習している、女性も居るな。
「やあ、君がお嬢の婚約者か」
うわ、でかいプロレスラーが来た!
「あっはい、遠藤涼一と言います」
「俺はファット飯島、この団体のエースだ」
「そうなんですか」「ベルト持ってるからな、チャンピオンだ」
ええっと入口で買わされたパンフレットに載ってたな、
あったあった、年齢45歳、身長186cm体重123kgって細かいな、
キャッチフレーズが『破壊神・魂の後継者』だって、かっこいい!
「お嬢には工場バイトで世話んなってた、幸せにしてやってくれ」
「その、今でも早朝に掃除とか色々やってるみたいですよ」「噂は聞いてる」
「飯島さんは今でも工場に」「まあな、ただ昔ほど行かなくて済むようになった、君の父上のおかげだ」
あっ、説明は行ってるんだ。
「工場は大変だったんですか、ちょこっと聞きましたが」
「ああ、例えばあった話、俺は部品製造でラインにも入るんだが、午前の時間帯マネージャーに、
ラインは4つあるんだが午後は第2ラインをやってくれって頼まれて、飯食って戻ったら午後のマネージャーに第3ラインをやってくれって言われてな」
急な移動かな?
「それで第2ラインは」「聞いたらそっちは午前の予定通りにやってくれと」「つまり」
「第2第3ライン両方やってくれと」「出来るんですか」「出来る訳ねえだろ身体が2つないと無理だ」
「ですよねー」「そしたら『困ったなあ、なんとかして下さい』だとよ俺に!」「他の人は」「居なかったな!」
むちゃくちゃだあ。
「どうなったんですか」「結局、言ってきた午後の時間帯マネージャーが、お嬢が帰るまで自分でやってたさ」
「ふふ、私もびっくりして、セーラー服のまま続きをやったわ」「うわあ」「今は外国人だらけだがそういう事はもう無い」
「大変だったんですね本当に」「他にも隙間バイトで来た奴がサボりまくって、実質15分しか働かなかったのに日給丸々貰おうとしたり、とかいう話も持ってるが……」
持ってるってトークネタ?!
「質問デース!」「おうパツキン姉ちゃん、どうした」
「このプロレス団体ってユーメーですCAR?」「聞いた事は」「サッパリー」
「20周年を迎えたんだがな、プロレスリングMAXIMUM、設立経緯とかもうパンフレットには書いてないからなあ」
ここでえみとさんが。
「ふふふっ、私が説明するわ、元は日本最大のプロレス団体から派生した衛生団体だったの、
でも国技館での旗揚げ戦をもって完全独立して、当初は新しいメジャー団体が出来たってプロレス界で大ニュースになったわ」
「そんなに大きかったんですか」「元の団体から来た選手は3・4人程度だったけどインディの大物も何人か吸収して、あと外国人選手が凄かったわ」
過去の動画とか探すとありそうだな、
とここで脚立を抱えた陽菜ちゃんが質問を。
「ねえ、メジャーとインディーってどう違うの?」
「俺が答えよう、昔は地上波テレビがついていればメジャーだったが、
今は単純に団体の規模だな、今の俺たちは……細けぃことはいいんだよ!!」
笑いながらえみとさんがフォロー。
「設立時に居た選手もスタッフも、もう誰1人残っていないわ」「えええ」
「彼、飯島選手の師匠はネイチャー山藤っていって、かつてインディー最大の団体でWエースの1人だったの」
「おうよ、俺はその最後にして最強の弟子だ」「病気で亡くなっちゃって、はぐれてこの団体に流れ着いてきたのよ」「後は俺の試合を見てくれ!!」
とりあえず、
プロレスにはメジャーとインディーがある事は憶えたぞっと、
J1とJ2いや下手するとJFLみたいなものかな働いてるし。
「今は外国人選手は」
「日本在住のが2人、あとはたまーにちょくちょく」
「そうですか」「運が良かったな、今日は3人見られるぞ!」
ということで、
生まれて初めてのプロレス観戦なんだけど、
楽しめるかな? まあ、こういうのは自分で楽しもう!!
「ふふ、この会場名物、ホットドック売りが始まったわよ」
「じゃあ、いただこうかな」「ケチャップ胸に落とさないように気を付けてね、ふふふ」
こうして開始のゴングを待つ僕たちであった。




