第99話 お酒は呑まないけど大人のデートらしい
カコンッ、カコーン!!
「あっ、2つ入った!」
「今のは上手く行ったわね」
「えっと、こういう時はお酒奢るんでしたっけ」「何の影響?」
とまあ放課後、
凪さんに社用車に拉致られてやってきたのはここ、
ビリヤード&ダーツ場です、保護者が居れば学生服でも大丈夫らしい。
(そして相変わらずゴスロリ服の凪さん)
いやよくその格好で、ハンディかな?
今は『ナインボール』というビリヤードの対戦中、
詳しいルールは省略、それ以前にショットのやり方を手取り足取り教えて貰った。
(ゴスロリ服でも、密着されると緊張する……)
近くでよく見ると、
めっちゃ値段が高そうな服なんですもの、
ていうか改めて見ると化粧もそれに寄せていたり。
「……はい、涼一くんの番よ」
「はいはい、4番のボールを狙えば良いんですよね」
「ついでに9番も、一緒に落とせば勝ちよ」「そんな無茶な」
学生服とゴスロリの対決、
ちなみに凪さん今は眼鏡をかけています!
そんな視線を受けながら僕は力頭良く棒で打ち抜いた!!
カコンッッ!!
……あぁ、4番はポケットに入らない、
でも9番にあたって、そして跳ね返って……
あっ落ちた、僕の白い手玉が! ってこれ駄目じゃん。
「うーん、難しい」
「角度を計算して、力加減も的確に出来れば」
「テレビゲームなら簡単そうなんですけどねぇ」
でもなんだろう、
周囲の大人はお酒を嗜みながらだ、
結構な熟年カップルも居る、大人のデートだなあ、お酒呑めないけど!
「うーん、これは角度によっては……」
真面目に計算しているっぽい凪さん、
僕はジュースを飲んでそれを見守っている、
いやほんと、なんで僕に嫁に来たんだろう、このゴスロリお姉さん。
(完全にお金目当てだったとしても、許せそう)
ひょっとして婚約破棄したときに、
とんでもない賠償金を支払う必要があったとか?
だとしたらその分のお金が溜まったら即さようなら、なんてことも……
カコンカコン、カコーン!
「うおっ、9番が落ちた!」
「ふう、まあこんな所ね、私の3勝目」
「いやこれを見られただけでも僕は満足です!」
ってこれ僕が勝つまでやるのかな?
と思ったら片付けはじめた、僕も手伝う、
そして凪さんもジュースを飲み干して……
「じゃあ次はダーツね」
「あっ、そっちなら勝てそう!」
「ルールは知っている?」「実は一番点が高いのが、真ん中では無いことくらいは」
と移動しようとすると、
知らない眼鏡のおじさんがやってきた。
「失礼、お二人の関係は?」
い、いきなりなんだなんだ、
学校帰りが不味かったのかこれ?
お店側は別に良いと言っていたぞ!
「メイドと、ご主人様のお子様ですが」
うん合っている、
少なくとも嘘はついていない。
「名刺は」
「メイドなのでそのようなものは」
社長としてのなら有るだろうけど。
「そうですか、メイドとしての所属会社は」
「あの、どういったご用件でしょうか、私に」
「芸能の仕事に興味があれば、こちらに連絡ください」
名刺を差し出した、
業界人とかいうやつかぁ。
「いえ結構です」
「せめて受け取っていただければ」
「さあ行きましょう」「はいはいメイド長さん」
とあえて言ってついて行く。
(僕の補導とかでなくて良かった、いや悪い事してないし!)
確かに眼鏡美人でビリヤード上手なゴスロリメイドとか、
そういうスカウトが来てもおかしくは無いよねっていう、
なんだろう、ちょっと誇らしい気もするが、ちょっとイラッともモヤッともするというか。
「涼一さん、気にしないで下さい」
「わかってます、もう忘れて楽しみましょう」
「デートですので」「デートですからねっ!」
この後、ダーツでも完敗した。
(でもいやほんと、人目を集めちゃうなあこの眼鏡美人ゴスロリメイド長)
しかも女社長で僕の婚約者、
あと何かあったっけ、まあいいや、
これからも徐々に徐々に、大人のデートを教えて貰おうっと。
(……そういや陽菜ちゃんも言ってたな、大人のデートしたいって)
ただ、あのお姉さんの場合は、
ここだと全てにおいて脚立が必要かも、
うーん、そうだ、陽菜ちゃんお任せで大人のデートをする手もあるな!
「どうしたの涼一くん」
「いや、その、あの、他に大人のデートって何があるかなって」
「ゴールデンウィーク最初のデートを、楽しみにしていてね、もうチケットは買ってあるから」「はいいぃぃ」
果たして、どこへ。




