第98話 なんとデートの予行練習らしい
(いったい凪さんは、どういうつもりでこの格好をしているんだろう……)
今日の登校、
先導の凪さんはメイド服では無く、
なんと黒い服に黒い日傘の、そう、ゴスロリファッションだ。
「さあ、今の内に渡ってしまいましょう」
一応はメイドの時の口調なんだけれども。
(黒い長袖に広がった長い黒スカート、黒ストッキング……)
素肌は最大限隠したゴスロリ服、
雨や足場が悪い日は着てこれないなコレ、
いや24歳でコレはいいのか、才女のする事は、わからない。
「でね涼一、とりあえずはバスケ、ソフト、バレーの助っ人を1回ずつ……」
景香お姉ちゃんは完全スルーだな、
ゴスロリどころか凪さんに触れる気も無いらしい、
まあ仕事は先導だから、それで正しいのかもだけれども。
「女子サッカー部ってなかったっけ」
「無いね、涼一がどうしてもっていうなら」
「いや景香お姉ちゃん、そこまでしなくても」
僕のために造るとか言われたら、
残り3年間全部応援に行かないといけなくなる、
自分の応援するJリーグチームを観に行くだけでいっぱいいっぱいだ。
(さて、そろそろ合流地点だ)
うん、景香お姉ちゃんのお友達ふたり、
ここは余計なことを言われないように、
僕の方からさっさと声をかけてですねえ……
「みんなおはよう、じゃあ僕はメイドさんに、なんでこの服か問い詰めるから、気にしないで!」
と距離を取って離脱。
「も~涼一ったら」
「さて凪さん」「はい」
「どういうこと?」「これはですね」
他所に会話が聞こえない位置まで来た。
「あっ、新しいメイド服? 人数分あるとか」
「いえこれは経費ではなく」「プライベートだ!」
「そうですね、涼一さんとのデート、その予行練習です」
えええええぇぇぇぇぇ……
「いや、その格好で行くデート先ってどこなの」「さあ」
「さあって」「とりあえず違和感なく一緒に歩けるかどうか」
「うーん、ちょっとそういう問題じゃない気が」「お気に召しませんか」
なんというか、
そういう次元じゃない。
「これで映像ミュージアムは、どっちかっていうとコミケじゃ」
「ではコミケの時に」「いやいやいや」「ところで涼一さん、コミケとは」
「えっそこからー?!」「……冗談ですよ、一応、どういうイベントかだけは知っています」
これコミケでやるなら、れいさんだな……
あっという間に拡散されてストーカーの餌食になるけど!
「とりあえず色々試したいのは、わかったよ、僕のためにありがとう」
「いえいえ、私も色々と、涼一さんがどうすれば喜んで頂けるか模索中で」
「ちょっともったいないけどね」「お給料は十分頂いているので、その使い道が」
逆に無くて困ってるとか?
余裕あるなら貯金をすればいいのに、
ってそれを僕が言うと結婚資金に思われるから黙っておこう。
(ほんっと、謎多き才女だ……)
ある意味で『ヤベエお姉ちゃん筆頭』かも知れない、
そんな彼女の、完全に本当な素顔、本性? を知った時、
僕はいったいどうなるか、受け止めきれるのだろうか……???
「くれぐれも、無理はしないでね」
「無理という訳では無いのですが、その」
「何でも言って」「逆に私のやりたい事を、やらせて欲しいのですが」
自らの意思なら、
そりゃあいいけれども。
「僕も無理言ってサッカー連れて行って貰うから、
凪さんも自分が連れて行きたい所で良いよ、どこでも」
「嬉しいです」「でも15歳が駄目な所はやめてね」「わかっています」
逆にそれが楽しかったりするかも?
えみとさんのポールダンス程じゃないにしても、
未知の体験が僕に新たな刺激を与えてくれるかも知れない。
(と思ってたら単純なデートだったりして!)
池でボートだとか、
そういや新しい埋め立て地にやたら大きな公園が出来たんだっけ、
極端に言えばリビングで一緒にテレビ見るのだって、デートと言えるかも。
「どんな凪さんでも、頑張って受け入れるよ!」
やさしく微笑む凪さん、
確かにこの時の僕は間違いなくそう思っていた、
でも……まさかそれが、あんなことになるなんて!!
(と、いうことになったりして)
そんな妄想をしているうちに学校である。
「では涼一さん」「あっはい」
「帰りはどういたしましょうか?」
「んー、お仕事忙しい?」「今は、それほどまででは」
とりあえず仕事で一番忙しいのは社長の凪さんだろう、
実働隊の父さんを除いてね、だからこそ、遊べる内こそ、
凪さんとの時間を大切にした方が良いかも知れない、まずは最優先みたいな。
(藪蛇にならなきゃ良いけどね)
ということで、
ゴスロリな凪さんに手を振ってっと。
「じゃあLINEで」「はい、涼一さん」
「涼一、早く早く」「いやいやクラスが違うからー!!」
いつの間にか、
景香お姉ちゃんの教室に取り込まれそうで怖い。




