第93話 まさかの人数分買ったらしい
「それで~、この因数分解は~……」
丁寧に数学を教えてくれるれいさん、
僕は居間の低いテーブルで景香お姉ちゃんと向かい合って勉強中、
やっぱり声優を目指していただけあって声が通る、頭にすんなり入ってくる。
(は、良いんだけれどもぉ……)
周囲を走り回る、
この丸っこいロボたちよ!
「コーナーリングが難しいわね」
「HEY! リョーイチ COME ON!!」
「ちょ、後ろからぶつかって来てるの大っち?!」
そしてテーブルの下からも……
「ふふふ、なかなか良いアングルね」
「いや5体もロボに走り回られると気が散るんですけど!」
「涼一、そこの数式は」「あっはい、って景香お姉ちゃんよく集中できるね」
まったくもう、
ゼロが暴れまわっているよ、
目も白とか青とか黄色とか各種光っている。
「ちなみに私の分も貰っちゃった」「えええ」
「全部で7体ですね~」「な、なんで」「会社の備品らしいです~」
「いや使い道は?!」「細かい事は~、気にしないで良いかと~」「経費だよね?!」
いや多分、父さんに聞けば何らかの言い訳をするだろう、
でもこの状況は単なる爆走ミニロボカーレースIN勉強中の居間だ、
ちょっと僕も欲しいって思っちゃったが、今は邪魔でしかない、これも試練か。
(集中して勉強できるかどうかの……ってそんな訳ないか)
とにかく数学を頑張らないと。
「これなら涼一くんのお風呂にも行けるわね」
「ボースイなら無敵デース、ジャスティース!」
「何がジャスティスよ単なる覗きじゃないのよっ」
駆け回りながら漫才はやめてほしい。
「えーい!!」
「ふふっ、涼一君に捕まっちゃったわ」
「回収回収、回じゅ……うわっ!」「涼一をキャーッチ!」
景香お姉ちゃんと抱き合っちゃった!!
「ちょ、どさくさまぎれに何やってるのよリョーちゃん!!」
「いやいや、わざとじゃないから!」「んもう、嬉しいなぁー♪」
「あら~、仕方ありませんね~、涼一さ~ん、捕まって~」「そ、そっちも危険な気が!」
いや数学の勉強してるのに何が起こってるんだよ、
って見守りロボぶち撒けちゃったから、まーた走り回ってるし!
「涼一くん大丈夫? 助けに行きましょうか」
「リョーイチ! このままロボットカーニバルしまSHOW!」
「もうリョーちゃん、ラッキースケベはワザとやるもんじゃないわよ?」「違うって!」
って景香お姉ちゃん放してくれないし!!
「も~、早くこっちに避難しましょ~」「いや沼から沼だし!」
「ふふっ、なんだか楽しい事になっているわね、賑やかで良い事よ」
「涼一、勉強は? もうお開き??」「いや開かないで、あっこのロボは大くん?!」
目が(==)ってなってら。
「はいはい~、では今からテストを行いま~す!」
あっ、れいさんが収拾してくれた。
「実は作ってきました~」「いつのまに」
「こんなことも、あろうかとです~」「涼一、これまだ学んでない所よね」
「では~、スタ~ト!」「よし、集中」「涼一、負けないわよ」「はい~邪魔なゼロたちは、しまっちゃいましょうね~」
見守りロボを回収して、
何かの手提げ紙袋に放り込んでる、
中では何やら、わちゃわちゃと声が……
「真っ暗になったわ」HELP ME!」
「雑に片付けられちゃったわね」「ふふ、涼一君、頑張ってね」「……」
最後のは大くんのか、
これで安心してテストを……解くぞー!!
(結果、まあまあ、そこそこでした)
答え合わせもその場でして……
「お疲れ様でした~」
「あっはい、れいさん、ありがとう」
「涼一、お風呂に入ってくるね」「うん、僕も、ってれいさん、ロボ出さないで!」
ついて来させる気か!!
ということがあったその後、
就寝時間にやってきたのは……
「ふふ、また勝ったわ」
「涼一、何とか2番手よ!」
「えええ昨夜と同じメンバー?!」
えみとさんと景香お姉ちゃん、
じゃんけんだと、そういうこともあるのか。
「今回は私が1抜けよ、ふふふ」
「僕の明日の当番でもありますよね」
「そうよ、私が寝かしつけて、私が起こしてあげるわ、涼一君を」
今日は景香お姉ちゃんはパジャマだ。
「私も一緒に起こしてあげるから」
「いや景香お姉ちゃんは一緒に起こされる方じゃ」
「ふふふ、さあ眠りましょう」「はい、特にえみとさんは朝、早いですからね」
……ベッドに潜り込む3人、
うん、やっぱりまだ慣れないや、
どっちを向いてもどっちかの顔が……
「涼一君、毎日、楽しい?」「ま、まあ」
「ねえ涼一、こういう賑やかな家庭は、どう?」
「面白いか面白くないかって言われれば、面白いかな」
これも父さんが望む、
僕に対する家庭的な空間か、
家にあまり居ない分、こうして6人も婚約者、疑似家族を……
(小泉家みたいな修羅場感は、無いよな)
アレはアレでなんていうか、
寂しさは無くなるがリスクの方が強すぎたというか、
その点、今はまだ心地よさまでは行かないが、悪くは無い、ちょっとくすぐったいけど。
「えみとさんは、こういう生活は」「ふふ、楽しいわよ」
「景香お姉ちゃんは」「こっちは天国ね、楽しい高校生活になりそうだわ、ううん、もうなってる」
「そっかそっか、それは良かった……じゃあ、おやすみなさい」「おやすみ涼一君」「涼一、おやすみー」
楽しい日常、か……。




