第90話 これで一応、登校の先導らしい
「はい大きい車が来たわ、気を付けてね」
「うん、ゼロさん……ってコレ、肩に乗せる必要ある?」
「学校に到着するまでの間よ、ほら景香ちゃんも気を付けて」「は~い」
僕の肩に乗せた丸っこいロボ、
なんでもリモートで操作できるらしいのだが、
落ちないように肩にくっつけられてしまった……
(これ、普通の市販品だそうで、ネットで買ったとか)
目がピンクなのでメスらしい、
れいさんが自宅からカメラで観られる上、
会話もばっちり、ただ喋り方がいつもの語尾を伸ばす感じじゃない。
(景香お姉ちゃんが覗き込んだ)
いやほんとお姉さん系の美少女だなあ。
「ねえ、本当に野沢さん?」
「そうですよ~、ただ~、声を変えてますから~」
「あっそうか、見つからないように」「そういうことよ涼一クン」
ストーカーにバレないように、
声も口調も変えている感じなのか、
それにしても、こんな方法とは……
(そして名前は『ゼロ』だそうです)
野沢麗→れい→零→ゼロ、だとか、
これで僕を先導してくれるという、
う~~~ん……先導? まあそこはいいか。
「それでゼロさん、ちゃんと一緒に登校している感じはありますか?」
「ですね、ただ来週はきちんとセーラー服を着ようかと」「えっ、それは」
「ゼロのボディによ」「ほっ、良かった」「でもご希望なら家でも着るわよ?」
あの爆乳でセーラー服は、
み、見て見たいけれど、恐ろしいような。
「このちっちゃいのにセーラー服ねえ」
「景香お姉ちゃん、別に可愛いとおもうけど」
「でも涼一がそういう趣味だと思われるわよ?」「あっ」
確かにそれがあるか。
「涼一のためならフォローしても良いけど」
「うーん、ゼロさん、鞄に付けるとか」「それだと視界が下になるし、会話しにくいわ」
「首からぶら下げるとか」「涼一、こうすればいいのよ」「あっ、剥がしちゃった」「私の肩につけるの」
取られちゃった、
でもこれならセーラー服を着た丸いロボを乗せてても、
違和感ないかな? いやあるか、野球の硬式ボールサイズとはいえ目立つ。
「なんか景香お姉ちゃんに悪いかも」
「ふふ、じゃあ涼一、貸しね」「えー」
「景香!」「おはよう景香」「あっ、おはよう!」
お姉ちゃんのクラスメイトともう合流か。
「何これ、おもちゃ?」「志保、まあそんな所かな」
「目が光ってる!」「ひろみ、喋るわよ」「えっ本当?」
「オハヨウゴザイマス、ワタシノナハ、ゼロ、コンゴトモ、ヨロシク……」
急に声と喋りがロボっぽくなったぞ?!
「ええっとこれは、僕のお手伝いさんが」
「そんなことより志保、ひろみ、涼一がケーキ屋さんに連れて行ってくれるって!」
「ほ、本当?!」「ねえ、どんなケーキ? チェーン店?」「いやその、クラスメイトの実家の」
ぐいぐい迫られてる!
「それでね2人とも、放課後、空いてる?」
「私は今日は部活休みだから!」「あ~私は無理~」
「あとはアリスちゃんね、ということで涼一」「あっはい」
うわ、ゼロの目がチカチカ光った!
「ワタシモ、イキマスヨ」
「だそうよ涼一」「う、うん」
「じゃあ放課後、校門で待ってるから」
……教室へ迎えに来ないのは、
気を使ってくれてなんだろうか。
「ねえねえどんなケーキ?」
「美味しい? ボリュームはあるの??」
「ちょ、本間さん石原さん、んっと、大きいし美味しいの、ですが」
値段がえげつない、
といのは正直に言うべきか。
「ショートケーキ880エン、チーズケーキ880エン、レアチーズケーキ990エン……」
おお、ゼロがアシストを!
「すごーい」「これAI?」
いいえ中身しっかり人が入ってます、爆乳さんが。
「安いプリンやマカロンもあるらしいわ、ね? 涼一」
「は、はいまあ、ただ席が少ないので、早く行かないと」「涼一くんはどんなケーキが好きなの?」
「本間さん、えーっと、何でも!」「量はイケるの?」「石原さん、まあ、男ですから」「ワタシハ、シュークリーム、スキデス」
こんな話で盛り上がれるんだ、
いや甘いケーキの話は喰いつくか、
などと思いながら、学校まで会話したのでした。
「じゃあね涼一、放課後!」
「うん、校門出た所だよね、わかった」
……あっ、景香お姉ちゃん、
そのままゼロ持ってっちゃった!
「タスケテ、リョーイチ、タスケテ……」
目が××ってなってる、細かいなあ。




