第85話 景香お姉ちゃんの友人に囲まれたらしい
(結局、並走バイクはメイド姿の陽菜ちゃんか……)
景香お姉ちゃんと月曜の登校、
フルフェイスヘルメットのちっちゃいメイドについていくイトコ同士、
露出がほとんど無いので『単なるメイドのお婆ちゃん』とでも見られてくれれば職務質問も無いだろう。
「ねえ涼一、昨日のメイド服、学園祭で使えないかなあ」
「クラスの出し物がメイド喫茶とか、深夜アニメであるね」
「リョーちゃん、それならリョーちゃんも女性メイドしないと」「クラスが違うから!」
いや、やっぱ声が若いや、
まあもし本当にポリスストップが来たら、
陽菜ちゃんを涙を呑んで置いて行こう、学校があるからね仕方ないね。
「涼一に永久就職しても、パートでメイドするのも良いかも?」
「えっ奉公に行っちゃうの?」「喫茶店とかよ、ていうかすでに奉公に出てるじゃないの」
「あっ僕の所へ」「もし実家でメイド服とか着てたら、兄弟にめっちゃ命令されてたと思うわ」
小4までしか知らないけど、
すでにそんな感じだった記憶が。
「ねえ、涼一はメイドの私に何かして欲しい事はなかったの?」
「うーん、とりあえず景香お姉ちゃんのメイド姿を見れただけで、満足かな」
「リョーちゃんは『ご奉仕いたします!』って言われても『何を?』って脳天からでっかいハテナをひり出すタイプよね」
いや、さすがにわかる。
「あっ志保! ひろみ!」
もう景香お姉ちゃんのクラスメイトと合流か、
ここからは陽菜ちゃんとツーショットタイムに、
と思ったら景香お姉ちゃんの友人ふたりが僕を囲んできた?!
「遠藤くんおはよー」
「おはよう、遠藤くん」
「お、おはようございます、本間さん、石原さん」
うん、この2人、
スポーティーな感じが景香お姉ちゃんと同タイプだ。
「ねえねえ、遠藤くんって毎朝、景香と登校してるのよね」「ま、まあ」
「いつもどんな話してるの? ちょっと気になったんだ」「気になりますか」
2人に挟まれて立て続けに話し掛けられる、
それをにやにやして見ている景香お姉ちゃん、
陽菜ちゃんは前に出ちゃった、バイクで先導している感じ。
(これはグルか? グルなのか?!)
他の婚約者と話をするより、
景香お姉ちゃんとクラスメイト、
そのみんなとお話しようよ、みたいな。
「そんな大した話じゃ」
「この間はお弁当作るって話したんだ~」「ちょ」
「景香やるう」「確かもう1度作ってもらったのよね?」「石原さん、よく御存じで」
ってクラスで僕の話をしているのかよっ!
「栃木で、夜中にこっそりバトミントンした話も聞いたよー」
「本間さん、あれはまあ若さゆえというか、たまたま2人とも眠れなくて車庫で」
「あれって涼一が2人っきりで遊びたいって言ったのよね」「いや景香お姉ちゃんが言ったんじゃ」
小3の夏休みだったかな、
昼は『みんなの景香お姉ちゃん』だから、
ちゃんと2人で遊ぶ暇ないよねって話した結果。
「遠藤くん、今も夜中に会って遊んだら?」「今って」
「そーそー、東京で再会したんだし」「あっコンビニは行ったなあ」
「涼一、土日の夜なら怒られないんじゃない?」「うーん、場所によるかな」
校則だと夜10時以降は、
ってあんなの何かあった場合の高校側の言い訳か。
「ねえ遠藤くん、うちのソフトボール部、景香と見に来てよ練習試合」「あるんですか本間さん」
「ウチのバレー部も!」「石原さんまで」「涼一とだったら、観に行きたいかな~」「いやいやいや」
あーコレ、ひょっとして、
本間さんも石原さんもきっと、
景香お姉ちゃんを自分の部室に入れたいんじゃ。
(あの体力なら、引く手あまただろう)
小4の夏までは、
下手すると兄弟の誰よりも体力あったかも。
「おととい涼一のJリーグ観戦につきあってあげたから、ねえ」
「それ言われると、でもなあ、女子の部活見るとか、ちょっと恥ずかしいかも」
「えー遠藤くん応援してくれないのー?」「適当に『ファイトー』て言ってくれるだけでも!」
景香お姉ちゃんのクラスメイトに、
友人に絡め取られてしまう予感がぁ……
陽菜ちゃんは普通に距離置いて先導してるだけだし。
(とか話しているうちに……)
うん、高校についた。
「あっ、アリスちゃん!」
「景香、志保、ひろみ、おはよう!」
「涼一、クラスの友達、バスケ部の古雷アリスちゃんよ」
わーおナイスバディ。
「はじめまして、君が遠藤クンね」
「はい、遠藤涼一です、ど、どうも」
「ほんっと、景香と仲良くね♪」「は、はあ」
だから一体、
何を話してくれてるんだよう……
(あっ、陽菜ちゃん行っちゃった)
あとでLINEで謝っておこうっと。




