22話
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「うひょー!大きくなってんなぁ!!」
「そりゃヒリアなんか比べものにならねぇ大都市だぜ?ベルクミア産の古代魔具は質が良いって有名だしな。まだ取り尽くされてねぇのが不思議だが」
「強いから、ね。ここの魔物」
朝の出立で、午後にはベルクミアに到着した。
これはヒリアとベルクミアが特段近いわけでは無く、移動の速度がとんでもなく早かったからだ。
どうやら飛竜の体にサーちゃんが何かしら魔法をかけて速度を上げているらしい。飛竜は一度も羽ばたかず、移動の仕方は生き物より飛行機を思わせる感じだった。
...この世界で音速の壁を見るとは思わなかったな。
「師匠も潜ったことあるんですか?」
「うん。遺跡脆くて本気出すと崩れちゃうんだ」
「本気出そうとしたってことですか...そりゃ難航するわけか」
「罠も殺意満々やしね!よっぽど性格悪いでここ立てた人」
頭に皺を深める老人を浮かべて笑う。
誰あろう人神がまだ地上に居た頃作った代物なんだとか。
なんでこんなに警備が厳しいんだと聞いたら<墓暴きは嫌いだ>とだけ言っていたっけ。
彼曰く血族...つまり人神の子孫なら全てスルー出来るみたいだが、残念ながら血が薄まってしまってもう人神自身にも誰が子孫なのかは分からないらしい。
「にしてもベルクミア、聖剣が見つかったところか....」
メイちゃんはどこか嬉しそうだ。
着いてくるのは嫌そうだったが、この街が好きな理由でもあるのだろうか。
「なんか嬉しそうやねぇ。前々から来たかったりした?」
「来ようとは思ってなかったけどよ。私もシェナの冒険譚はそれなりに好きだったからな」
「うん...面白いよね」
なるほど。
それはテンションが上がるのも無理はない。
“冒険家シェナの探し物”子供達のみならず、大人や老人、貴族から平民まで幅広く好まれている冒険活劇だ。
伝説の冒険家。
そう呼ばれる彼女が行く先々で遭遇する困難な冒険を、彼女のファンだと明言して憚らないとある絵描きが絵本で仕上げた代物。
彼女の名が売れてからもう30年になるが、長命の獣人種であるために未だ現役。冒険譚は今も更新され続けている。
そんな彼女の冒険は、熱心な絵描きによって殆どが絵本となって売り出されている。
ただ一つ。彼女が伝説と呼ばれるようになった所以。
最初の大冒険。ベルクミアでの聖剣探索を除いて。
(元気かなぁ)
サラ達とのお仕事のそのまた一つ前。シェナとの冒険は30年前の出来事だ。
今はかなり遠い所まで各地を巡っているらしい。何故分かるか?
簡単だ。
俺も絵本買ってるからな。
様々なお宝と道中の困難はわかりやすい起承転結を生み、この世界での貴重な娯楽の一つとなっていた。
大人にも子供達にも大人気な代物の登場人物が自分の知ってる奴とくれば面白くないわけがなく、買う以外の選択肢は無かった。
まぁ物語りの中だとかなりクールなイメージなのだけは笑えたが。そんな達観してる奴じゃなかった筈だが、カッコつけたくなったのかな?
俺といた頃は子供のような見た目...メイよりも更に児童めいた低身長に大きなケモ耳がチャーミングな子だった。
〜っす〜っすと愛嬌のある話し方と冒険に対する熱い想いとは裏腹に、思考や方法は極めて現実的で当時(これは大成するわな)と納得感があったのを覚えている。
死の運命により、聖剣に手が届かない筈だった彼女を助けるお仕事を人神から仰せつかったのが始まり。その為にまず遺跡の下見にと入り込んだその先で、偶然にも魔物に追われていた彼女を発見したのが出会いだった。
御伽話の聖剣を、しかし必ずあると確信している彼女。俺はその話を信じながらも分前を欲しがらず、それが協力関係となれた理由だった。
何かにつけては金だ分前だと打算マシマシな態度ではあったが、確かに互いを信頼しあって行う攻略はとても楽しいものだった。
時間にしては半年くらいだろうか?一つの遺跡の探索にしてはかなり時間がかかった。
一回のアタック後の準備や魔物との戦闘。遺跡の広さといった要素も時間がかかった要因だが、一番は瓦礫の撤去や発掘の大変さだ。
一番乗りになるため情報は外に持ち出せない。
魔物退治で存分に暴れた後、次の通路まで埋まる瓦礫の山。
この片付けを俺らがやるのかと2人して肩を落とした事は1度や2度じゃなかったな。
期間に反して濃密な時間ではあったものの、最期は仕掛け床を踏み抜いた彼女を庇ってさっくり退場。
何か罠が起動したんだとは思うが、突き飛ばした後の記憶が無くおそらくは即死。頭をやられたんだろう。探索メインの防御力がそこそこあるビルドを一発とはあの神様、本当に剣に触られるの嫌だったんだな。
「...考えごと?」
「ん、ああ。ちょっとね」
あの頃の冒険に思いを馳せているとサラから声がかかった。
とりあえず手をニギニギしておく。
「ん...んぅ....」
思ったより色っぽい声が漏れたのでやめた。
普通に気不味い。
「それで?ここには誰に会いに来たんだ?」
「特定の人ってよりは誰か残ってないかな〜...みたいな?多分みんな旅立ってて殆どおらんと...」
「シッ……静かに」
その一言で、空気が張りつめた。
身を乗り出す彼女の魔力が高まっていく。明らかな戦闘態勢だ。
サラの視線の先を追う。
何を見ているかは直ぐ気付いた。
街道の喧騒に混じってひとつだけ、流れに馴染まない影がある。
荷車の間を縫い、屋根の影を滑り、人の歩みでは追いつけない速度でそれは真っ直ぐこちらへ近づいてきていた。
「なんやろ、あれ....?」
ちゃんと確認しようとして、飛竜から身を乗り出した瞬間。
視界が青く光る。
これは、掴み.......
「っ!!」
サーちゃんが掌を俺の目の前で振り、迫った杭が見えない何かに軌道を逸らされた。
「うお...」
(一瞬見えたぞ。あの杭は、まさか...)
鎖に繋がれた腕ほどの太さの杭は、明後日の方向に飛ばされた筈だった。しかし彼方へと飛んでいく運命にあった杭は途中から、不自然な軌道で持ち主の元へ戻っていく。
繋がっていた鎖に引かれたのでは無い。杭が自分から戻って行ったのだ。
まるで戻るべき主人が分かっているかのように。
「帰還者の杭...?!おるやん!シェ....」
「メイ、ケイくんをお願い」
その名を叫ぼうとした次の瞬間、体が固まる。
気が付いた時には、身体中が保護結界で覆われていた。
一切身動きができない...。
(ここまで行くと拘束魔法と変わらんですがな)
サラの考えは分かる。
俺へ手を出そうとした襲撃者と俺を分断しつつ戦うつもりなのだろう。
だがアイツは敵じゃ無い。
アイツは....
「おぉぉぉぉまぁぁぁぁえぇぇぇぇ!!!!だれだぁぁぁぁぁぁぁああああああ!!!!」
ん?なんかブチギレてね?
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アクセス解析ってとても素晴らしい機能ですね。
誰かのアクセスがある、それだけで書く意欲になります。投稿し始めてよかった。
読んでくれる皆さんへ、ありがとう。




