874 牛の生産地 下
なんやかんやで料理は完成した。
とは言え、さすがにすべてを平らげられる胃の持ち主はいない。貴族って、お腹一杯まで食べないのよ。太っちゃうからね。
完成した一人分の料理を少なく食べれるように小皿に盛る。盛りつけも料理人のセンスであり、技術となる。
「見事なものね。盛りつけが綺麗だわ」
「目で楽しむ。盛りつけはその一つですね」
美味しそうに見せる。楽しむ食事となるためにね。
台車に乗せ、ルーセル様の部屋に向かった。
「お待たせしました」
お妃様を食事に誘う場所ではないけど、公式の場でないならオールオッケー。テーブルに料理を並べた。
「ハンバーグは食べたことあるけど、まだこんなハンバーグがあったのね」
「思いの外、厨房が充実しておりましたから煮込みにしてみました。是非とも我が家に欲しいものばかりです。使い方のわからない調理器具もたくさんありました」
「そうなのね。この部屋にも見知らぬ魔道具で溢れていたわ」
「恐縮です」
侍女に代わり、わたしも席に着いた。
「チェレミー嬢は本当に綺麗な顔立ちね」
食事なのでベールを取り、狐面に代えたらお妃様にそんなことを言われた。
「チェレミー様の顔立ちはゴズメ王国ではとても好まれておりました。騎士の間で理想の姫だと、とても人気でしたわ」
エルフは貧乳派。大きいおっぱいは好まれないだけよ。
「そう言えば、ルティンラル騎士団からも好かれていたわね」
「チェレミー様は先陣に立って恐れることなく渦に立ち向かっていきました。チェレミー様の働きなければゴズメ王国は甚大な被害が出ていたでしょう。もしかしたら滅びていたかもしれません。勝利の女神として騎士たちには讃えられておりますわ」
わたしはおっぱいのためならどんな戦場にも立ってみせる。この世のおっぱいはわたしのためにあるのだからね。
「チェレミー嬢は、勇敢なのね」
「コルディーとの友好のために行ったこと。打算ですわ。さあ、料理が冷めないうちにいただきましょうか」
まずは煮込みハンバーグにフォークを刺して口に運んだ。
おー。懐かしい味がする。肉がいいし、ソースもいい。ファミレスで食べた記憶が蘇るわ。
「とても美味しいハンバーグです。不思議と懐かしさを感じます」
「それは嬉しいわ。煮込みハンバーグはジーヌ家では家の味とされているのよ」
お袋の味、ってことかな? そんな味があって羨ましいわ。
「これから先もこの味が受け継がれることを願います。百年後も、その先も。この味はきっと財産となるでしょう」
わたしもハンバーグを作ってみたくなったわ。あー美味しい。




