873 牛の生産地 上
「それでは、わたしは肉料理を作りますね」
「ハルジー。補佐、よろしくね」
調理工程を見たいところだけど、調理に乗ってきたのでハルジーに任せるとする。
温かいものが食べたいので漬けを先に作ることに。食べやすいサイズに切ってタッパ(ガラス製)に並べていき、酒とみりんを煮切ってアルコールを飛ばして醤油を入れたものをタッパに入れる。
わたしの記憶での作り方はシンプルなもの。一手間二手間はない。それは料理人に任せるわ。
作業が終わればステーキ用にハルバーを切り、塩胡椒をかけて水分が出たら布で吸い取り、フライパンで焼く。
表面を綺麗に焼けたら取り出して食べやすいサイズに切る。ソースはマヨネーズからしだ。そこに醤油をちょっとかけて食べるのが好きだったのよ。
完成したら台車に収納する。温かいものは温かいままで。冷たいものは冷たいままで。おっぱいは生で。いや、おっぱいは関係なかったわ。
ミシエリル様はどうかなと見れば、まさかのハンバーグを作っていた。
「ハンバーグですか」
「あら、知っていたのね」
さらにまさかのハンバーグって名前だった。ジーヌ家にも転生者がいたってこと?
「はい。牛の肉が手に入らず羊肉で作っていました」
まだ牛は育てている段階だからこの世界のハンバーグは食べてない。
「ジーヌ家では牛を飼っているのですか? 頼んだら牛の肉がすぐ手に入りましたけど」
「飼っているわ。むしろ、生産地と言ってもいいわね。牛肉を使った料理はジーヌ領の名物となっているわ」
「それは嬉しいことを聞きました。わたしも牛肉を使った料理がしたかったのです」
是非ともジーヌ公爵領に商人を向かわせるとしましょう。牛を飼っているならチーズや牛乳も手に入れられるはずだわ。もしかしたら牛を買えるかもしれない。そうしたらカルディム領でもさらに増やすことができるわ。
「煮込み系のハンバーグですか。ここにある材料を見てすぐ作れるとはさすがですね。常日頃から作っていている域ではなく、常に研究している域ですね」
主婦レベルではなく料理人レベルだ。公爵夫人の地位で持てる腕じゃないでしょう。
「あなたにはわかるのね」
「手を見ればわかります。常に料理をしているから手袋をしていたのですね」
公爵夫人の手ではない。爪は短く切られ、白粉も塗ってはいない。小さな傷や火傷痕もあったわ。
「公爵夫人の手ではないからね」
「わたしは働き者の綺麗な手が好きですよ」
金色の野に立ったり青い衣は着たりしないけど、わたしは好きだわ。がんばった証のような手だもの。おっぱいに傷があったら夜な夜な忍び込んで綺麗に治しますけどね!




