864 歓迎式典 下
「コルディアム・ライダルス王国を代表し、クレオス・バンガ・ライダルスが歓迎する」
あれが、と言うのは失礼だけど、初めて国王陛下を見たわ。一応、ライダルスの姓を受け継いではいるのね。
何百年と続いたら直系が途絶えることもあるけど、コルディーもその例から外れている。いったいどんな方法を取っているのかしらね? かなりの数を産まなきゃ不可能でしょうよ。
国王陛下の長々とした演説は右から左に流し、あくびが何度も出てしまう。ベールを被っててよかったわ。
国王陛下の演説が終われば次は神殿長が続いた。
人間か妖狐か見ただけではわからない。見た目は三十くらいの女性で、立派なものを服の下に持っている。ほんと、この国は大きいものばかりで最高だわ。あ、小さくても最高ですよ。
脳内おっぱいだらけか! って突っ込まれたらサムズアップで「おう!」って答えるわ。
わたしの熱い視線に気づいたのか、神殿長が一瞬だけこちらに向けた。
うん。あれは妖狐だわ。わたしが思う以上にコルディーは妖狐に侵食されているのね。
コルディーの主要人物の演説が終わればルーセル様の番。五分くらいの演説をお願いされたわ。
定型文からのコルディーの感想、ゴズメ王国との違い、人々との触れ合いなどを五分くらいに纏めた。
「コルディアム・ライダルス王国とゴズメ王国の友好が長く続くことを願います」
で、締めくくられて拍手が鳴り響いた。
これを見ると、身分て大事よね。伯爵令嬢でしかなかったからゴズメ王国での式典もなく、質素で済んでくれた。他人事だからあくびしながら見ていられるわ。
式典は終わり、国王陛下やお妃様、王族と思われる方々が下がって行き、次にルーセル様が下がる。
そのまま次の歓迎会場の控え室へと向かった。
「落ち着いててよかったですよ。一国の姫として立派でした」
ルーセル様を褒め讃える。
「ありがとうございます。それは、チェレミー様のお陰ですわ。式典中、ずっと心が騒ぐこともありませんでしたから」
「練習の成果ですよ。次は歓迎会です。挨拶ばかりの会となりますけど、名簿はわたしが作ります。二度目の方がいたら耳飾りを通して伝えます。水分を小まめに取りながら口を潤してください」
コルディーの貴族はアホみたいにいる。主要な貴族だけでも百人はいるでしょうよ。それを一発で覚えろとかふざけんな、だ。
それはわたしの付与魔法を駆使して覚える。ゴズメ王国でやったから問題ないわ。
「はい。わかりました」
「その意気です」
うんと頷いて、ルーセル様の背中をトントンした。




