862 加減が大事 下
「レイラの伝手で侍女になりたい者を十人くらい集めて欲しいのだけれど、どうかしら?」
やって来たレイラに尋ねた。
「わたしが選んでもよろしいのですか?」
「構わないわ。あなたの独断と偏見で選んでちょうだい」
わたしの側に仕えるなら独自の力を身につけて欲しい。細々としたところまでわたしが手を出すことはできないからね。細々なことはレイラ自身で片付けて欲しいのよ。そのためには自身の配下となる者を持つほうがいいでしょうよ。
「か、畏まりました。三日ほど屋敷を離れてもよろしいでしょうか? 面談もしたいので」
「あなたの好きにして構わないわ。お金も必要でしょうから好きなだけ持って行きなさい」
今のわたしは結構な資産を持っている。神殿から、商人から、自身の商売から、ね。
「ただ、いくら使ったかは記録しておきなさいね」
帳簿はしっかりしておかないとね。
「畏まりました。すぐに手配します」
すぐにお昼となり、昼食が部屋に運ばれて来た。食堂に行くのも惜しいくらい仕事があるのよ。
すぐに食べてカフェオレで一息。すぐに仕事に取りかかった。
「お嬢様。そろそろ準備を」
もうそんな時間か。スケジュールキツキツだわ。
いや、貴族時間で動いてくれているので、そう目まぐるしくないのだけれど、その前にやっておかなければならないことが鬼のようにあるのよ。
引き出しから梅大福を出──したらタルル様が現れたので、サクッと魔力をいただいた。
「なんの躊躇いも、断りもなく全魔力を奪って行くな……」
「タルル様はお菓子を奪うときだけは油断しておりますからね」
普段は鬼のように鉄壁だけど、お菓子に飛び突くときはアホみたいに無防備になる。どんだけお菓子に意識を持って行かれてんのよ。
……その点、わたしはおっぱいを出されたからってすぐに飛び突いたりしないわ……。
まあ、わたしは環境作りをしてからしっかり狙うタイプだけどね。
「少しは加減せんか」
「全魔力を奪っても梅大福を放さない状況では説得力がありませんよ」
どんだけの執念やねん。逆にその執念に感銘を受けるわ。立派だよ。真似はしたくないけどね。
全魔力をいただいたので苺大福も献上しておく。
「等価交換って知っておるか?」
「不公平が蔓延した世界で生きるわたしには知らない概念ですね」
命は平等ではないし、価値の重さも違う。わたしの中で平等で公平なのはおっぱいだけ。いや、わたしの命よりおっぱいのほうが価値がある。イエスおっぱい。ハイルおっぱい。ハラショーおっぱいよ。
「じゃあ、タルル様を敬意して普通の大福も献上しましょう」
いつの間にか消えていた苺大福のところに大福を置いて準備に取りかかった。




