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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第15章

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743 意見の相違(笑) 上

 返事が来るまでにやるべきことを済ませておく。


「わたし、完全に留守番させるために呼ばれたのね」


「引きこもり体質のメイベルには夢のような仕事でしょう?」


 伯爵家でも高位に位置するマルビオ家。さらに高位の家に嫁がされて面倒な付き合いを強制させられる。なら、ここでわたしの代わりをやっているほうが何万倍も心穏やかに過ごせると思うわ。


「まーね。嫌だとは思わないわ」


「わたしものんびり家で過ごしたいけど、もうそうも言ってられない立場となったわ。ここを守ってくれる存在が必要なのよ。メイベルなら任せられると思ったから貴女を呼んだのよ」


「光栄なこと、なのかしらね?」


「別に光栄に思うことはないわ。ただ、自分の居場所は自分で築きなさい。他者に邪魔されないようにね。メイベルがここを守ってくれるならわたしは存分に戦えるわ」


 わたしからおっぱいを奪うヤツとね。容赦はしないわ。


「……貴女、たまに怖い笑顔を浮かべるの辞めなさいよ。皆怖がるわよ……」


 自分の頬を触ってみる。わたし、そんな怖い笑顔してる?


「無自覚なのがさらに怖いわよ」


「そうかな? わたしは常に世界が穏やかでありますように、って願っているのに」


「それは不穏になったら全力で叩き潰すと言っているようなもの。だから先見の魔女とか怪嬢とか陰口を叩かれるのよ」


 ヤダ。わたしの思いが周りには全然伝わってないわ。わたしほど穏やかな者はいないっていうのに。悲しいわ……。


「ほんと、酷い言われようだわ。殴って来なければ殴られることもないのにね」


「貴女の場合、殴って来たらお腹に一発入れて、さらに膝で顔面を打つくらいのことをやっているのよ。一発なら一発に止めておきなさい」


「メイベル。敵は完膚なきまで叩き潰すものよ。変なしこりを残すほうが愚かというものだわ。安心して眠りたいのなら徹底的にやりなさい」


「だから貴女の穏やかは世間一般と違うのよ!」


「意見の相違ね」


「貴女だけが間違っているのよ!」


 親友がわかってくれないなんて悲しいわ。


「大丈夫。わたしはメイベルの意見を大切にするわ」


「なんでわたしが同情されているのよ!」


 意見を大切にするって言ってんのになぜ同情と受け取られてしまうんだろう。これは一緒にお風呂に入って語り合わないとダメかしら?


「まあ、いいわ。わたしがいない間のことを話し合うわよ」


 意見の相違はあってもわたしたちは親友であり、ビジネスパートナー。やるべきことをやっちゃいましょうか。時間がもったいないわ。

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