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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第15章

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738 先祖返り? 下

「まあ、よろしく頼むよ」


 完全に居着く気なタルル様。ここは老人ホームならぬ守護聖獣ホームじゃないんだよ。


「魔力はいただきますからね」


 最終処分場じゃないんだから、いただくものはいただきますからね。


「使わぬ魔力ならいくらでもくれてやるさ。溜まると体調が悪くなるからな」


 わたしはデトックスさせられてんのか? まあ、毒も使い方によっては薬にもなる理屈。しっかり使わせてもらいますよ。


「で、ハクカ梅やセキカ梅を使った菓子は?」


「はい?」


「お前なら作っているんだろう? 酒は作って菓子は作らんってことはあるまい。あるなら出せ」


 守護聖獣は窃盗か恐喝しかいないのか?


「梅大福しかありませんよ」


「これだけか?」


「お菓子は凝ればいいというものではありません。素材のよさを引き出せた菓子が至高なんですよ」


 わたしはそこまで至高な舌を持っているわけではない。毎日食べるなら濃い味より素朴な味のほうがいい。毎日食べるからこそ飽きない味がいいのよ。


「なるほど。それも一理あるな」


「まあ、人の好みは千差万別。人と妖精の好みも千差万別。好きなものを食べたらいいですよ」


 わたしは大福が好き。包むものは酸味があるものがいい。それだけよ。


「嫌なら食堂に行ってください」


 あちらでは日替わりお菓子がある。毎日違うものが食べられるんだからそっちで恐喝してください。


「いや、お前が作るものが一番美味い。てか、もっと作れ」


「そんな時間はありませんよ。料理メイドに言ってください」


 わたしの引き出しはわたしの好みだけが詰まっている。他はいれない傲慢さで作られているのよ。


「ジャムをあげるから仕事に集中させてください。転移したいときは呼びますから」


「いいように使ってくれるな。恐れ知らずにもほどがあるわ」


「あ、そうそう。新しいものも作ったんだったわ」

 

 あまり口にできないお菓子。ビスケットの棒にチョコレートを塗ったり塗らなかったりした名状しがたいものだ。


「あー美味しい」


 ポキッと食べる。


「なんだそれは?」


 と、奪い去る恐喝犯。


「名前はありません。チョコ棒とでも呼んでください」


 異世界でも守らねばならないことがあったりするのよ。


「チョコ棒か。チョコと焼き菓子の比率が絶妙だな。素朴ではあるが、つい口にしたくなる味だ。人がタバコを吸うのもわかる。これをずっと咥えたくなる」


 知らねーよ。勝手に論じてろや。


「売店にも卸しますから仕事をさせてください」


 わたしはやることがいっぱいあるんです。そろそろ昼番組が仕事を終えてお風呂に入る。それまでには終わらせたいんです!

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