718 ダイジョーブ 上
問題なく次の村に出発する。いってらっしゃ~い。
わたしもついて行きたいけど、そうもしてらんない。やることいっぱいなのよ。おっと。自業自得とか言わないように。
「シューティングスター、領都にお願い」
タルル様ばかりに頼るとシューティングスターが拗ねちゃうからね。領内移動はなるべくシューティングスターで移動するとしましょう。
「任せろ」
で、領都にとんぼ返り、になるかどうかはわかんないけど、出発したわたしが戻って来たことに叔父様の顔から表情が消えていた。
「……胃が痛くなってきた……」
あら、それは大変。わたしの付与魔法でストレス耐性を上昇させてあげましょう。シャランラー。ハイ、ダイジョーブ。
「お前の天能、卑怯すぎるんだよ」
「大切な家族を守る力を授かったことを天に感謝ですね♥️」
「死ねないというのも酷なものだ」
ぼそっと言わないの。叔父様にまたストレスがかかるでしょう。
「叔母様も一緒にお願いします」
「……わたしもなんだか胃が痛くなってきたわ……」
あらあら、叔母様もですか? 仕方がありませんね~。シャランラー。ハイ、ダイジョーブ。
「お前のような悪女、見たことがないよ」
あらやだ。わたしは悪役でもなくヒロインでもない、ただのTSしたモブな伯爵令嬢でございますよ。おっと。突っ込みはなしよ。
「さあ、部屋でお話し致しましょうか」
二人を連れて叔父様の執務室に向かった。
「まずはお酒でも飲んで落ち着いてください」
執務室にある棚からブランデーを取り、グラスに注いで二人に出した。
「飲まなきゃやってられない報告か?」
「祝杯だと思いますよ。グビッと行ってください」
「それなら話を聞いてからだろう。いや、飲むから言わないでくれ」
そう言ってグビッとブランデーを飲み干した。
「……味がまったくしないよ……」
あらやだ。ストレス耐性が弱かったかしら? でも、あまり強くすると感情なくなっちゃうしね。胃も強化してたほうがいいかしら?
叔母様もグビッと飲んだけど、表情に変わりはなかった。叔母様にもストレス耐性付与を施したらいいかしら?
ブランデーが胃に落ち着いたら本題に入る。
「この度、わたしの伴侶を見つけたので婿にすることにしました」
…………………。
…………。
……。
「なに言ってんだお前?」
たっぷり時間をかけてからの一言。噛み砕くまでの時間じゃなかったの?
「だからわたしの伴侶を見つけたので婿にします」
「貴女、なに言ってんの?」
叔母様まで。どんだけ思考停止してんのよ。
「それだけお前の話が突拍子もないことだと理解しろ」




