1180 監査 上
いいおっ──いい湯でした。
「お風呂は疲れを癒してくれるわ」
湯上がりのよく冷えた牛乳もまた格別。火照った体をいい具合に冷ましてくれるわ。あ、おっぱいを連想させるから牛乳を飲んでいるわけじゃありませんからねっ。
「あら、アルバン様もお風呂でしたか」
お風呂から桟橋辺りに戻って来たらアルバン様がよく冷えたビールを飲んでいた。職人たちに混ざって。
別にアルバン様の接待で来たわけじゃないから職人たちと話したあとは放置しちゃったわ。
「ああ。騎士に誘われてな」
一応、騎士様用のお風呂もあり、ここから百メートルくらいは離れてある。あちらにも休憩所を設け、ビールとワインを冷やしてあるのだけれどね。わざわざこちらに戻って来ることもないのに。
「それはなによりです。お風呂にはわたしの付与を施してあるので毎日入れば体がよくなりますよ」
確かめてないので騎士様のことはよくわからないけど、侍女たちは肌艶がよくなっている。おっぱいに張りが出ているわ。アルバン様も何日か入れば髪も復活しますよ。畏れ多いので言わないけど。
「チェレミー嬢の付与か。それは効きそうだ」
結構飲んだようで口が軽くなっている。それともストレスから解放されて素が出ているだけかしら?
「アルバン様が年に一、二回、監査として赴いてくださるのなら健康な体と安らぎを得られると思いますよ。公爵様もアルバン様と話せるなら頼もしく思えるでしょう」
宰相の懐刀と相談に乗ってくれるなら公爵様の髪も減ることもないでしょうよ。まさにウィンウィンな関係だわ。
「……チェレミー嬢の口の上手さには感心するばかりだ……」
「失礼致しました。今後は口を慎むとします」
「いや、構わぬ。チェレミー嬢のことだ、必要なことまで慎みそうだからな。必要と思えることは苦言でも言ってくれ」
苦言役みたいな人はやはり違う。懐刀になるはずだわ。
「畏まりました」
こういう方は大切だ。味方にしておくべきお方でもある。その言葉はありがたくいただいておきましょう。
「わたしは、世界樹の下に参りますので、アルバン様はゆっくりしていてきださい」
「なにしに行くのだ?」
「様子を見に参ります。あそこには天上人の体がありますからね。どうなっているかの確認です。シューティングスター、来てちょうだい」
ロリっ娘には世界樹を見張ってもらっている。聖女の領域だと示すためにね。
「お姉様」
すっかり従順になってしまったロリっ娘。ロリに興味はないけど、可愛くなっちゃって。あとは、ナジェスとちゃんとやっていけるように教育しなくちゃね。
「ありがとう」
ロリっ娘の手を借りてシューティングスターの背に跨がり、世界樹へと向かってもらった。




