1181 監査 下
世界樹の高さは、二、三百メートルはあるかしら?
ゴズメ王国の三分の一、と言ったところだ。世界樹としては小さいのでしょうね。
それでもこの時代では、とんでもない高さでしょう。十メートル以上の建物なんてないのだからね。あるとしたら屋敷の礼拝堂ぐらいかしらね?
「ただ、日照権が脅かされそうね」
岸から三、四百メートル。太陽が昇る反対側には建物を造れないわね。
「あの光がムーンライト様の本体か」
てか、なんで光っているのかしらね? 魔力が多いと光る、とか? まあ、今も魔力を垂れ流してくれている。百年どころか二百年は困らない魔力をいただけているわ。逆に、多すぎて魔力を溜めておけなくなっているわ。
魔石にして固定化はしているけど、百年分ともなると四トントラック百台とかになっている。さらに百年分となると、また別の場所を用意しなくちゃならないわ。
やはり、世界樹から魔力を流す道を創るしかないかな~。
エネルギーをムーンライト様に頼る危険性はある。恒久的なエネルギーでもなければゴルディー全土を覆うほどのエネルギーでもない。
ファンタジーな世界でもエネルギー問題が出て来るんだから夢も希望もないわよね……。
まあ、わたしが全世界のエネルギー問題に責任を持つなんておこがましいこと。エネルギーはこの世界に住む者すべての問題。わたしは今に責任を持ち、百年後くらいまではエネルギーを途切れさせなければいいのよ。
「シューティングスター、世界樹の天辺に向かってちょうだい」
「わかった」
世界樹の天辺に向かってもらい、付与魔法で風を纏わせ、シューティングスターから飛び降りた。
「お姉様!?」
「大丈夫よ」
さすがに箒に跨がって飛ぶ勇気はわたしにはない。それならメリー・ポピンズ方式にして傘で飛ぶとするわ。いや、やらないけどね。
その者風の衣を纏いて緑の地に降り立つ、的な方式を使わせていただきます。
魔力を吸い取っているのか吐き出しているのか、ただ、ここが魔力が満ちていることはわかる。
わたしの付与魔法で魔力を送る付与を設けた。これはいずれ求められたときの布石だ。いつになるかまではわからないけど、やっておくに越したことはない。いまのうちに施しておいたほうがいいでしょうよ。
「ジーヌ家の地下にも魔力炉を作っておきますか」
おそらく、わたしは王宮にも魔力炉を設置したはずだ。売店を求められて王都に来たのだ、王宮も同じものを求めたって不思議ではないわ。
「魔力、か~」
このまま魔力がインフラのエネルギーとして求められるのか。この世界を創造した者は、そこまで考えているのかしらね……。




