1173 法 下
話し合いの結果、聖女教会の纏め役で聖女補佐をする教司としてミシエリル様が選ばれた。
順当と言えば順当か。公爵夫人なのだからね。
他にも聖女の周りはジーヌ家の上位女性陣を配置する。
「問題はシスターですね」
「シスターとは?」
「教会で言うなら修道女のことですね。神殿は巫女と呼んでおります。そことわけるために聖女教会ではシスターと呼ぼうと考えております」
あの服の下に隠れたおっぱい。神秘を感じるわ。グヘヘ。
「不思議な響きだな。なにか意味があったりするのか」
「どこの国の言葉かは忘れましたけど、姉妹という意味だったはずです」
外国の言葉ってことにすれば追及もできないでしょうよ。転生者がいるぞってメッセージにもなるしね。
「姉妹か」
「まずはジーヌ家の方々で固めるのですから問題ないでしょう。これが五年先、十年先となるとジーヌ家だけでは賄い切れなくなります。皆様、ご結婚とかご懐妊とかありますからね」
貴族で一生未婚はなかなかハードすぎる。わたしのように自分で生きられる力がないと無理でしょうね。
ましてや公爵家だ。未婚なんて許されないでしょうし、許してもらえないわ。
でも、だからと言って必ず女性が産まれて来るわけでもない。均衡はバラバラ。男性が多くなることだってあるはずだわ。
「聖女教会では未婚でなければならないという決まりは設けません。母たる身でも構わないようにします。別に神にその身を捧げるわけでもありませんからね」
他の教会や神殿は未婚の者しか許されなかったりするわ。女性の救済って面もあるからだ。駆け込み寺的なところがあるよ。
「そのことを知らしめるためにもミシエリル様が立つ意味があるのです」
「そこまで考えねばならんのだな」
「そうです。世界樹は世界を支える存在でもあります。ましてや天上人が関わっている。曖昧で象徴的な神ではありません。現人神。人と同じ考えを持てる神でもあるのです。現に、一国を不死の国へと変えられる力を持つほどの存在です。気に入らないというだけで国を滅ぼし得る存在なのです」
神の怒りに触れてはならぬ。まさに触らぬ神に祟りなし、だ。
「わたしたちは現人神の前では誠実でないといけない。敵になってはならない。裏切ってはならない。神の前では従順ではないといけないのです」
人間は矮小であるからだ。
「故に、人を法で縛らねばいけないのです」
天上人はそんなこと望んではいない。しかし、矮小たる人間が生き残るためには法を使うしかない。自らを律し、無害であること示す。
「ただ、我々人間は神の家畜ではないことも知ってもらう必要があります。神が我々人間を家畜と見たとき、人は神に挑まなければなりません。矜持を示すために」
勝てる勝てないではない。生存を賭けた自己主張である。




