1099 獣姫《ケモノヒメ》 下
もし、これがRPGだったら。
四天王も親衛隊も出て来ない。ただ、骸骨兵が数で押し切ろうとするだけのクソゲーだったでしょうね。
しかし、乙女ゲームと考えたらイベントの一種でしかなく、恋愛を目的にした内容なら戦闘シーンなんて省略化されて当然でしょうよ。
と、乙女ゲームなんぞ知らない元男の推測でございます。
バカと煙は高いところが好き、みたいなことを聞くので城の上を目指す。
相変わらず骸骨兵が涌き出ているけど、なんか弱くなっているような気がする。出がらしか?
「光の魔法で明るくしなさい」
騎士様方に命令する。獣姫は守護聖獣だと思わせるためにだ。
「はっ! 光を放て!」
騎士様方がグリムワールを振るって周囲を照らし始めた。
さすが反属性。周辺に漂う靄のようなものが浄化(中和か?)されていっている。
と、どこからか黒い靄がわたしに流れて来て包み込まれてしまった。
「なにかしら?」
手で払ってみるけど、まったく意味はなかった。
「攻撃ではないか?」
「これが?」
なんの意味があるのかしら? 目眩ましにしては薄いけど。
「鬱陶しいわね」
胸の谷間からいつも使っているグリムワールを抜いた。
「ここって本当に収納力があるんだ」
マジびっくりよね。いや、入れたのわたしだけど。
「挟まりすぎて常識を違えたか?」
確かにラグラナの胸に挟まれて思いついた肉体変化だけど。
「邪魔」
グリムワールを振って黒い靄を吸い取り、錬金の壺に入れて魔力化してやった。ごちそうさまでした。
「なんだったのかしら?」
「もしかすると、呪霊だったかもな」
「呪霊?」
レイスとかゴーストみたいな感じか?
「ああ。人の怨念が具現化したものだ。たまに森で見たことがある。強くなると祟り獣となることもある」
「基本原理は渦みたいね」
「そうだな。それ故に厄介だ。まあ、それをゴミでも払うように消したヤツが一番理不尽だがな」
厄介がなぜ理不尽に置き換わるのよ? 厄介だって話だったでしょうが。
「奥の手はあれだけだったのかしら?」
もっとこう、映えるように現れて欲しかったわ。観ている人のことも考えて欲しいわ。
それから呪霊が現れることもなく、立ちはだかる骸骨兵は騎士様方に薙ぎ払われている。
そして、やって来た場所は謁見の場みたいなところ。奥の玉座にはおっぱいが──ではなく、準備はできてる~とか歌いそうな女性が座っていた。
「初めまして。わたしは獣の姫。この地を守護する者。あなたは、クレヌーの女王で?」
「そうだ。我が主である」
答えたのは骸骨マンだった。




