1098 獣姫(ケモノヒメ) 上
転移した先は城壁の上。下では騎士様方が無双してた。
「マジカルチェンジ」
で、ナイスでバディーな美人に肉体変化。ちょっと体が痛いわ。
「なんだ、まじかるちぇんじって?」
「お約束です」
「なんのだよ?」
たぶん、世界観とかです。
「てか、誰に姿を変えたのだ? 願望か?」
「コノメノウ様が大人型になったらこんな感じかな~って姿です」
なんだ、願望って? 想像ですけど。
「魔力があると大人にもなれる。いいですよね」
視点が違うと見える世界も違うものね。あらやだ。足先が見えないわ。
「コノメノウ様もこういう風になれば威厳もあるのに」
「お前だけだよ。コノメノウを軽く見ているのは」
「人は見た目が九割ですよ」
ちんまい姿でカスみたいな行動してたら威厳もクソもないわ。唯一、魔力があることだけは認めているわ。残り一割の部分ね。
「見た目詐偽がなにを言っているんだか」
わたしは見た目を偽ったことはない。あるがままを見せていました。化粧もあまりしたことないし。
「しかし、無理矢理肉体を変えると体が痛くなるんですね」
妖狐の変化術を真似たけど、なかなかの魔力量を消費したわ。戻るときも同じ量だと考えると、そうそうやれるものじゃないわね。妖狐に戻った守護聖獣様も人に戻ってないみたいだし。
「そもそもやろうと思うものでもない。妖狐の考えはわからんよ」
「最初から人型かそうではないかでしょう。どんなに知能が高かろうと魔力が強かろうと妖狐の姿のままでは限界がある。自らの手でなにかを創ることもできなければ自らの足で歴史を築くこともできない。獣は所詮獣。牙と爪だけでは町を築くことはできないのですよ」
だから妖狐は、人間に寄生──ではなく、共存の道を選んだのよ。自らの限界を感じてね。
「ふー。やっと体が慣れたわ」
とんでもねー変化術(魔法)だよ。よくこんなものを考えたものだ。それだけ人間に憧れたか?
「チェレミー嬢!」
と、なぜかわたしの名前を挙げて騎士様方が集まって来た。なんでわかるの?
「獣姫と呼んでください」
どこぞのモノノケ姫ではございません。獣姫です。
狐の面を被り、特に意味はない見た目だけの杖を出した。
「ハッ! 獣姫様!」
ノリのいい騎士様方だ。
「終わりにします。ついて来てください」
宝珠をこちらに移動させ、騎士様方を連れて骸骨マンのところへと向かう。どこにいるか知らんけど。
「獣姫様のために道を築け! 歩みを止めるな! 騎士の名折れぞ!」
ほんと、ノリいいな! 別に段取りしていたわけじゃないのに。
その先に骸骨マンがいるかわからないけど、とりあえずこのノリにノリノリしちゃいましょう。




