1096 救護士隊 上
「そろそろ限界ね」
さすがに人は無限に動けない。守護聖獣様が暴れている間に交代しますか。
「ラインフォード様。今のうちに第六から第十の騎士団を後退。後退させつつ第一から第五までの騎士団を城に突入させてください」
「了解した」
「第六から第十までの騎士団へ。後詰めのために体力の回復をしてください。最後、動けないなど恥を晒さないようにお願いします」
勝利の雄叫びもできないようでは映えないからね。
ラインフォード様や主の団長は思いの外、優秀よね。貴族によくある傲慢さもない。一人くらいバカはいるものなのに。それとも優秀だからこそ騎士団に追いやられたのかな?
速やかに命令が飛ばされて後退と交代が行われている。
「ハリーヌ様。救護士隊の出動をお願いします」
ミシエリル様の従妹で一児の母であり、ルティンラル騎士団所属のハルシェン様の妻でもあるお方よ。
「はい! 皆様、行きます!」
事が起こったのはジーヌ公爵領だ。そこでジーヌ家が動かなければ他から非難にあってしまう。
戦いに出れないのならジーヌ家の女性陣に救護士として出てもらい、騎士様方を救護してもらいましょうだ。
もちろん、ジーヌ家の女性陣だけでは足りないので、八家の侍女にも協力してもらう。貴族の義務を民に見せるためにもだ。
八十人規模になってしまったのは驚きだけど、八家としても活躍の場は欲しいのでしょう。参加させられる侍女は大変だけど。
でも、命の危機はないし、純白の外套はわたしの付与魔法を施してある。騎士様方もなにかあれば全力で守ってくれるでしょう。
救護士隊が動き出し、地面に崩れた騎士様方に水やタオルを渡し、怪我をした者には治癒魔法をかけている。
「よく考えたものだ。うちでも試してみよう」
「戦争は起こさないでくださいね」
救護士隊なんて戦争とかでしか役に立たない。病院とか創るなら別だけど。
「起こすか。貴族の女を教育するのにいいと思ったまでだ。軟弱者が多いからな」
弱く見えるのも貴族令嬢の生存戦略。マッスルご令嬢とかもらい手がなくなりますよ。
「ただまあ、それもいいかもしれませんね。女性に役目を与えるのもいいでしょう。戦いの心構えはあったほうがいいですからね」
貴族だからと言って安全な場所にいられるとは限らない。最前線に出ることになるかもしれない。貴族はその覚悟を持つべきだしね。
「お前は常に臨戦態勢だな」
「脳内お花畑な貴族が生き延びられるほど優しい国にはしたくありませんので」
貴族は常に危機感を持つべきである。




