1095 野蛮人の戦い 下
騎士様方に倒された骸骨兵の骨が集まって竜と形創られて行く。
この世界に竜がいるかどうか知らないけど、乙女ゲームな世界を元にしているなら竜の一匹や二匹、出て来ても驚きはないわ。
「骸骨竜とはまたベタだこと」
まあ、ベタだからこそ世界観を崩さないでいられるんでしょうよ。ロボットとか出て来たら興醒めだもんね。
「お、お姉様!」
「ロンシャ!」
「慌てない。敵が奥の手を出してくるなんて想定済みよ」
見せ場の一つや二つ、出して来なければ物語は盛り上らないわ。まあ、なにを出して来るまではわからなかったけど、こちらも隠し球は用意してある。本人はねみだろうけどね。
「騎士たちよ、慌てることはありません! 我が国は、コルディアム・ライダルス王国なり! 聖獣に愛され、聖獣を崇めてきた国である! 王国の危機に姿を現さぬなんてことがあるはずもなし! 遥か前から騎士たちを見守っていました! 我が王国の守護聖獣様は、我らとともに戦場に立っております! 悪しき邪竜をお倒しくださいませ!」
ほら。ちゃんと見せ場と立場を守って差し上げましたよ。出るか出ないかはそちらのご判断にお任せしますわ。ククッ。
「……おま、性格わるっ……」
「わたしが心優しき聖女のような女に見えたことがありましたか?」
「…………」
「ウソでもあったとか言ってくださいよ。優しかったことありますよね?」
「…………」
言えよ! あったって言えよ! 優しかったことあったよね! こっち向けよ!
「お、お出ましだ」
答えろよ! 話変えんなや! クソ!
「あれが今期の守護聖獣殿か。若いな」
若いとか若くないとか、どこで見分けているのかしら? ただ、十メートルはある巨大な妖狐にしか見えないわ。尾は……五本? 少なくね?
「まあ、若いからこそ血気盛んなようだ。暴れとる暴れとる」
魔法戦では肉弾戦。顎で骨を噛み砕き、爪で骨を裂いているわ。
確かに若いようで脳筋のような戦い方。下に騎士たちがいることをわかっているのかしら? まあ、吹き飛ばされたところでわたしの防御付与が守ってくれるでしょうけどね。
「もっと映えるように戦って欲しいものです。守護聖獣様が戦うところなんて滅多に見れるものじゃないんですから」
「自国の守護聖獣を見世物にするでない」
「力は見せるときには惜しみなく見せるものです。抑止力となりますからね」
これは帝国にも見せつける意味も兼ねている。コルディーにはこれだけの存在がいるぞ、ってね。
対抗策を考えられそうだけど、こちらはその先を考えるまで。先手先手を塞いでなにもさせないことが平和を維持できるのよ。




