1090 これはフィクションです 上
ジーヌ公爵領にあるクレヌー湖。民からは心の拠り所として、誇りとして存在していました。
そこに住む貴族の少女は、湖に来るが大好きでした。
とある日、どこからか声が聞こえて来た。なにかを囁くように、泣いているように、少女の耳に届いていました。
なにかもわからないままに月日が過ぎ、休暇を過ごしに王都から妃候補者たちがやって来ました。
ジーヌ家は代々妃を教育する家。休暇とは言え、妃として、王国の母として、教育を休むことは許されない。領民と触れ、明日の王国をよくするために過ごしていた。
妃候補者たちが少女と出会うのは運命だったのかもしれない。いえ、必然だったのでしょう。
少女は不可思議な出来事を話し、妃候補者たちは湖になにかいるのではないかと考えるようになった。
古い文献を読み、領民の老人から古い古いお伽噺を聞き回った。
湖の底には古き王国の名残があり、そこには月から来た姫が幽閉されていることがわかった。
ただ、わかったからと言って妃候補者たちにどうすることもできない。見守るしかできなかった。
状況が変わったのはやはりジーヌ家の者。聖獣と心を通わせる少女が邪悪なる気配を感じ取ってしまった。
邪悪なる気配は王国に向けられている。理解した妃候補者たちは、王都守護騎士団を動かせないかと奔走する。
まず、ルティンラル騎士団が応え、ミランダルク騎士団が続いてくれた。
それが功を制し、湖の底から現れた古き王国の城から現れた何万もの骸骨兵を跳ね退けることに成功できた。
妃候補者たちはさらに騎士団に働きをかけた。しかし、さすがに王都の守りを空にするわけにはいかないので、第一から第十までの騎士団を呼び寄せることに成功できた。
王国のために次々と集まる騎士団。妃候補者でありながら前線に立つ八人のご令嬢たち。そして、同調者と聖女。王国を救うために強敵へと挑む!
………………。
…………。
……。
ってあらすじがメイベルから送られて来た。
「ノリノリね、メイベルったら」
どこぞのラノベみたいだけど、ラノベがない時代にラノベまでの文章と設定まで昇華させている。あの子、天才か?
「まあ、辻褄は合ってはいるわね」
ただ、そこに守護聖獣も加えないといけないから妃候補者たちには守護聖獣の加護かなにかを追加してもらいましょう。聖衣と杖は出すから、あ、狐の面をつけてもらいましょうか。
「タルル様も友情実演しますか? ゴズメ王国もよい感じに出しますよ」
「歴史に恥など残したくないわ」
恥ではなく名誉ですよ。失礼だな~。
「まあ、脚本と設定はこれでいいわ」
「……こうして捏造されたものが正史として残るのだな……」
史実をちゃんと残さなければこうなるっていい教訓ですね。




