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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第19章

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1089 プロデュース 下

「さて。次は衣装を作りますか」


 よーく考えよ~。見た目は大事だよ~。るーる、るーる、るぅ~る、って歌があったようななかったよな? まあ、人は視覚からの情報が大切ってことよ。

 

 月の姫様奪還作戦(仮)は成功する。これは決定事項だ。失敗などあり得ないほどに、だ。


 わたしがするべきことはこれを最大限に利用すること。コルディーのために利用してやることだ。


 何度も、何度でも言う。わたしはこの生活を気に入っている。女に産まれたことも許容している。おっぱいを望んでいる(他者の)。


「タルル様。わたしは結構自分が好きなのですよ」


「……そ、そうか? そう思えないところをたまに見るが……」


「完璧な者はいないのですから無条件で自分を愛せる者はおりませんよ」


 望むならあと二十センチは身長が欲しいわ。


 ──そこではない! 


 と、なんか突っ込みを受けたような気がしたけど、さらっと流しておきましょう。


「わたしは、この生活を守るためなら手段は問いません」


「常日頃から手段は問えと言っているではないか」


「それは成功するためには、です。わたしは自分が成功しようとは思っておりません。地位はそこそこあれば充分ですし、名誉も評価も他の方々にお任せしますわ。わたしには足枷にしか思えないものですからね」


 地位は足枷だ。人生を豊かにするものではない。伯爵令嬢が一番居心地がいい場所なのよ。


「主役は騎士様方。次に妃候補者たち。わたしは裏方兼指揮者。これから始まるのは一大叙事詩。すべてはわたしの手の内です」


「自分で言うな。ますます黒幕感が出るわ」


「内緒ですよ♥️」


 ウインクして見せた。


「よく言う。わたしに見せている時点で、ゴズメ王国への脅しだろうが」


 内緒にしてくださるのなら真実を知っていても問題にならないだけですわ。


「嫌ですね~。わたしは最初からゴズメ王国とは仲良くしているじゃないですか。一度でもゴズメ王国が不利になるようなこと致しましたか?」


 ギブ&テイクはしてきたけど、ゴズメ王国を不利にさせたことはない。どちらかと言えば利を与えてきた。疑われることなんてまったくしてないわ。


 ……まあ、警戒されることばかりしてきたのは自覚ありますけどね……。


「だからお前は怖いのだ」


「鳥も鳴かずば射たれまい」


 雉、いないんで。


「常に周囲には狩人がいると思え、ですよ」


 目立てば目立つほど狩られる立場となる。静かにしてないとね。


「お前は狼だろう。足音を立てずに近寄り、気づかぬうちに首を咬み切るんだからな」

 

「わたしは可愛い子犬ちゃんですよぉ~♥️」


 なぜか菓子カスに回し蹴りを食らわせられてしまった。い、痛い……。

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