1088 プロデュース 上
いつまでもおっぱいを見て過ごしたい。
そんな細やかな願いも、時間もわたしにはなかった。
メイベルも商人たちも急なことに全力で動いてくれている。わたしもまだまだ用意することは残っている。これが終わったら南の島に行きたいわ。
──フラグか?
なんて言わないで。そんなにポンポン立てられて堪るか! わたし、どんだけ波乱万丈なんだよ!
「上がりましょうか」
ラグラナのおっぱいで生涯を終えたいところだけど、わたしにはこの世のおっぱいを守る使命がある。まだ見ぬおっぱいがわたしを待っている。ここで挫けてはならぬのよ!
髪を乾かして服を着たらナディアにシャーベットを出してもらい、ラムネをかけてシャクシャクさせていただいた。うめ~。
「これはこれでいいものだ」
そうですか。それはなによりです。勝手に食ってろ。
わたしは頭がキーンとならないようゆっくり食べる。火照った体を冷やしてくれるわ~。
すべて食べたらコーヒーで冷えた体を温める。これぞ至高のマッチポンプね。
「いい眺めだわ」
「あそこに邪悪な魔力を放つ城がなければな」
別に景色うんぬんを言っているわけじゃない。お城が見えるいい位置にあるってことを言ってるのよ。
「時間があれば密かに消せたのに」
王政であんな問題は世に出さないほうがいい。平和のまま、昨日と同じ今日。今日と同じ明日。それを民に思わせることが大事なのだ。
「恐ろしいことをさらっと言いおるな」
「それをやるのが守護聖獣様のお仕事なんですけどね。事が終わったあとにわたしごと証拠隠滅、なんて考えていたらまだ守護聖獣として尊敬できるのですけど」
「どこに尊敬できるところがあった? わたしにはまったくわからんのだが」
「王国を守るためなら血を流すことも厭わない。立派なものではありませんか。わたしも見習いものです」
「見習われたら堪ったものではないだろう。それをよしとするなら王国のためなら守護聖獣すら消すと言っているようなものだろう」
「コルディーのためです。なにか問題でも?」
すべてはコルディーのため。そうでなければ守護聖獣も貴族も成り立たないわ。
「本当にお前とだけは敵対したくないよ」
「わたしもですよ。争いなど手間でしかありませんからね。皆仲良く、それが一番です」
コーヒーを飲み干したらお城がよく見える場所に宝珠を設置した。
「ただ、平和の裏で苦労する者がいるってことは知って欲しいものです」
「だったら邪悪な笑みを浮かべるな。どう見てもお前が黒幕だぞ」
あながち間違ってはおりませんわ。わたしがこの戦いをプロデュースしているのですからね。ウフフ。




