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令嬢ではあるけれど、悪役でもなくヒロインでもない、モブなTSお嬢様のスローライフストーリー(建前)  作者: タカハシあん
第19章

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1080 意気軒昂 上

「あ、気づかれたみたいだわ。遮断されそう」


 月の姫様がそんなことを言うと、ラーレシム様から光が消えた。


 テーブルに倒れるのを防ぎ、慌てて近づいた騎士様に天幕へと運んでもらった。


「……チェレミー嬢……」


 集まって来た騎士様方に囲まれてしまい、ため息を漏らすこともできない。安心させるために笑顔を見せた。


「ふふ。正直、窮地に陥ってましたけど、月の姫様のお陰で勝機が見えて来ましたわ」


 まあ、面倒なことは増えたけど!


「しょ、勝機があるのか? あの魔力を前にして……」


「魔力は問題ではありません。人を凌駕する魔力でも準備をすれば無効化することはできますから。脅威にはなりません」


 月の姫様が敵だったら脅威だったけどね。人が小川の水力発電徐なら月の姫様は大きな石炭火力発電所だ。まあ、勝てるわけないよね、だ。


 でも、だからこそ制御は大変であり、溜め込むこともできない。そこに攻略する隙があるってものだ。まあ、もうちょっと放置させてもらうけど。


「エルティーヌ側もシャンドルク側も技術は同等。故にどちらも負けました。完璧でないのなら付け込む隙はあるというものですよ」

 

 アイテムボックスワールドから紅茶を出し、自分を落ち着かせるために飲んだ。ここにブランデーを入れたいって思ったのは今日が初めてだわ。


「勝機は見えた。とは言え、戦況がよくなったわけではありません。やることに変わりはありません。騎士様方には奮起してもらわねばなりません。ともにコルディーに害なす者を排除してもらいます」


 カップをテーブルに置き、席を立った。


「決戦は間近です。騎士様方には最後まで付き合っていただきます」


「チェレミー嬢に捧げ剣!」


 ラインフォード様の声に集まった騎士様方が一斉に剣を掲げた。


「騎士様方に渡したグリムワールに光の魔法を追加しました」


 自身のグリムワールを出し、光の剣とする。


「騎士たちよ! 敵は強大である。力及ばず地に伏す者も出て来るでしょう。無念に散る者もいよう! しかし、退くことは許されない! 我らはコルディーの剣であり盾であるから。臆すことなかれ! 退くことなかれ! 諦めることなかれ! 我らには闇を斬り裂く光の剣がある! 明日のコルディーを照らす光がここにある! 我らの誇り決して折れぬ! この光のように! 最後まで騎士をまっとうせよ! 我ら、コルディーの騎士である!」


 集まった騎士様方が咆哮のように吠えた。


  意気軒昂でなにより。けど、わたしは意気消沈。この戦いより終わったあとのことを考えると胃が痛くて仕方がないわ……。

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