1057 それはあるのかないのか 下
「チェレミー様。光魔法を使える者がおりました」
次の日、ナルシア様が侍女を二人連れて来た。
「……侍女の格好をしているけど、魔法使いかしら……?」
どちらも年齢は高めだ。立ち振舞いも侍女のそれではない。忍び込ませたことがよくわかったわ。
「は、はい。コンポルク家つき魔法使い、レゼアです」
「わたしは、マルセア家に雇われた浄化師のロマルです」
「浄化師? マルセア辺境伯領独特の職業かしら?」
初めて聞いたわ。大体、魔法使いで括られるからね。
「はい。マルセア辺境伯領は悪霊が立ちやすい場所のようなので」
どんな場所よ? 昔、古戦場だったの?
「辺境はいろいろ問題がある地なのね」
コルディーが無尽蔵に広がらない理由はそれなのかもね。なんだか遮断されているように思うのはわたしに考えすぎかしら?
「グリムワールを通して光魔法をお願いできるかしら? わたし、光魔法って見たことがないのよね」
レーザーとか出せる魔法とかだったらロマン溢れるわ。
「畏まりました。光力浄化を行います。これは広範囲を浄化する魔法です。ただ、威力は弱くて悪霊を追い払うくらいしかできません」
まずは浄化師のロマルが光力浄化をやってくれた。
なにか光が発生し、波のように周辺に放たれた。
確かに柔らかく、穏やかな波動だ。でも、これって、聖魔法じゃない? ゴズメ王国で体感した巫女の力に似ているような気がする。
「ありがとう。光魔法は悪霊を浄化するだけ? 他はなにかできないの?」
「光力十字や光力結界、光を放つことや光力鎧などがあります」
「人を殺すものはあるの?」
あえて言わなかった気配を感じた。
「……あります。でも、しゃべることは禁止されております」
「コンポルク家もです」
それだけ危険なもの、ってことでしょうね。
「つまり、悪霊を操る者もいるということね」
光があるなら闇もある。悪霊を使う者も両領地にいるってことだ。
「辺境はいろいろ問題を抱えているのね」
カルディムは可もなく不可もない領地だから問題も可もなく不可もなく、って感じだ。でも、辺境はたくさんの問題を抱えているようだ。
「両家が妃候補戦に参加するのもよくわかったわ。中央の力が必要ということか」
妃候補戦なんて辺境になんの旨味があるのかと思ったけど、支援が欲しかったのね。
「それはともかく、グリムワールに光魔法を覚えさせてちょうだい。協力いただけるのなら光魔法を付与したグリムワールを両家に献上させていただくわ。魔力を持つ者なら光魔法が使えるようになるから。あ、そうだ。世界樹で作ったグリムワールがあったはず。光魔法と相性がいいはずだから使ってみて」
使ってくれたらより光魔法を知ることができるしね。




