第3話〈女神様との朝ごはん〉
ピンポーン。
「はーい」
「優、朝ごはん持ってきたよ。食べれる?」
「まあ熱も下がったし、風邪も治ったと思う」
「じゃあ入るね」
「ん、ありがとう」
朝ごはんの容器を出して蓋を開けただけでわかる。これは美味しいのだと。俺はすぐに平らげた。
すると優桜が片付けて、片付けが終わると
「じゃあまた学校で」
そう言って出ようとしたから俺は昨日から思っていた懸念を口にした。
「優桜、学校ではなるべく関わらないようにしてもらっていい?」
「いいけどなんで?」
「女神様って言われてる優桜とただの陰キャの俺が話してたらどうなるかわかんないし」
「女神様って言わないで!」
「わかったよ」
優桜は本気で嫌そうな顔をして悲痛な声で言った。
周りの奴らは、彼女を「女神様」と言って神格化して見ているが、自分自身を1人の人間として見て欲しいのだと俺にも、周りにもということを痛切な声と顔が物語っていた。
「じゃあ学校では椎名さんな、これで文句ないだろ」
「うん、約束ね、優」
少しだけ表情を緩めた優桜は、ひらひらと手を振って帰って行った。
学校ではあまり関わらない。それが俺たちのルールになった。
実際、学校での優桜は高嶺の花のような「女神様」の顔のまま、過ごしていた。
俺の横を通り過ぎる時はただのクラスメイトとして。
だけど朝と夜だけは違う。お向かいさんから、毎日「お裾分け」が届く。
そんな駄目駄目な生活が始まって数ヶ月。
真新しい制服がすっかり馴染んだ頃、季節は春からうだるような熱気を含んだ夏へと移り変わっていた。




