表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ふりだし廻りの転生者  作者: チリ—ンウッド
第三章 王の首
86/440

85マス目 最弱からの眺め


「死にたく…………なかった」


 先ほどまでの夕焼けと違い、綺麗な青空が広がっている。

 水の音、小鳥の声、街の人の他愛無い会話。

 安全へ引き戻されたような、そんな優しさすら感じる光景。

 だがその代償が大きすぎる。


「エリザベート、テンダー、シラン、フラウト。

みんな俺を覚えてないなんて」


 会うのが怖い。

 誰かに会うのが怖い。

 もう思い出を作るのが怖い。

 しかし世界はそれを許さない。


「くそっ、くそっくそっくそっ!!」


 俺は自分の膝を力いっぱい殴りつけると、

鞄から手帳とペンを取り出した。


「ヒントだ! あるはずなんだ、何かが!

突破口、突破口、どれだ突破口!?」


 死ぬ間際に見ていたもの、聞いたもの。

 そして、感じたもの。


「ワイゼム・・ブラットソンだっけか?

あいつが巨人だろ。

んでもって人に変身できて……」


 ペンを走らせることに意識を向けることで、

少し気持ちが落ち着いてきた。

 感情で霧がかかっていた鮮明な記憶が、次々に呼び起される。


「もう一人は新人の女だ。

名前はわかんないけど、リックを倒すくらいだ。

きっとルガニスさんでしか相手にはならないと思う」


「エリザベートが戦ってた奴の声は一言も聞こえなかったな」


 通信結晶でエリザベート達に何度も声をかけたが、声は届いていなかった。

 あの時通信が、何故か向こうからこっちの一方通行だった。

 それにも何かあるはず。


「そういえば声はしなかったけど変な音が聞えてたな。

なんかコップのストローに、息を吹き込んだような感じの。

……そうだ、エリザベートがスライムとか言ってたぞ!!」


 スライム。

 たしか本でスライム族とかいう種族を見た気がする。


「スライムなら剣は効かないよな。

となると、リックに戦ってもらうのが一番か?」


 結局、あの巨人の力は全然わからなかった。

 それでも巨大化した後の動きはよく覚えている。


「あのワイゼムとかいう爺さんの動き、俺にも見えたんだ。

もしかして、相当動きが遅いのかもしれない。

エリザベートが戦えばかなり有利に戦えるかも」


 わずかに光が見えてきた。

 なんだか、これなら勝てそうな気が……。

 そんな俺の手がピタリと止まる。

 

「そうだ、……こいつだよ」


 アルニアと呼ばれていたリーダーの男。

 血液を操るとかいう、中二病ノートにでも書かれていそうな魔法。

 だがこの魔法、応用が利きすぎて隙が無い。

 血を糸に変えて遠くからの正確な攻撃。

 リスや蛇など、生物すら作りだしているようだった。

 そして、とんでもない爆音を響かせる蝶とかいう技。

 こいつに至っては、もはや想像すらできない。

 

「ルガニスさんが勝てない敵。

なら計画を変えて、ルガニスさんとリックが……。

いや、あの新人女をどうするんだよ」


 上手くいっていたはずなのに、

パズルのピースをはめ間違えたかのように、この男の存在が全てを崩していく。

 

「ここにエリザベートを持ってきて、スライムにはテンダーとか……。

いやいやいや、エリザべートと一緒に戦って死んでるんだ。

どう考えても勝ち目が薄すぎる」


 結局のところ、最初に考えた布陣から動かせない。


「エリザベートが巨人と戦う。

リックがスライムと戦う。

ルガニスさんが女と戦う、そして……」


 そしてどうする?

 またネストに手伝ってもらうか?

 いや、ネストでも勝てない可能性が高い。

 そもそも王様の護衛どころか、ネストが王様の首を狙いそうじゃないか。

 

「誰かいないのか?

たった一人でこいつを倒せるような奴は」


 エリザベートより強くて。

 ネストにも勝てて。

 味方になってくれそうな。

 …………あれ?


「………………ぷっ」


 俺は思わず吹き出してしまった。

 いた。

 その条件に当てはまる人間が。


「俺だ」


 エリザベートと一対一で勝利して。

 ネストと正面からやり合って生き残り。

 この世で一番の味方。


「決まった、どの馬車に誰が乗るのか」



『4番馬車』  襲撃者・巨人ワイゼム

         乗員・エリザベート&テンダー


『3番馬車』  襲撃者・謎の新人女

         乗員・ルガニス・ベヨネッタ


『2番馬車』  襲撃者・スライム族の亜人

         乗員・リック


『1番馬車』  襲撃者・亜人隊リーダーアルニア

         乗員・俺



「そうだよな、誰が相手でも変わんねぇもんな」


 俺は拳を天に突き上げる。


「相手が近所の子供でも神様でも、どうせみんな俺より強いんだ。

誰が相手でも、変わらない。

姑息で、卑怯で、ずる賢い、ゴミみたいなチートってのを見せてやる!

待ってやがれよ、亜人隊!!!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
script?guid=on
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ