第十一話
肥前の北半分を制覇したところであるが、死亡フラグはまだまだ存在する。
これまで死亡フラグの回避には細心の注意を払ってきたつもりではあるが、
実のところ、匙加減が難しいと言わざるを得ない場面が多々あったのもまた
事実である。
身内や味方はもちろん、降った者たちへの寛大な処置。
敵対した者でも、一族根こそぎ処断するなど以ての外。
敵対勢力の領地領民に対する乱暴狼藉は禁止。
恩賞は公平に。
酒色に溺れることなく自身の鍛錬を欠かさず、諫言・忠言は良く聞くこと。
このように考えるべきことが多々ある。
なお、寛大な処置と言っても、全て丸ごと赦免するなどあってはならない。
当然舐められないように最低限の示しは必要だ。
そして、一族根切りは抑止策としての見せしめに時々行われるが、その苦しみ
を知る俺が企図してやってはいけないことだろう。
当然、外聞も良くない。
また、処断する者と赦免する者の吟味区別は重要だ。
少なくとも、降伏した一族の女子供や、誓詞を差し出すような相手には寛容さ
を示す必要がある。
敵地とは言え、領民に対する乱暴狼藉の禁止は、普通に考えたら当たり前に
思えることだが、その土地を我々がすぐに治めることが出来ないならば、策
としては有用と言える一面もある。
恩賞を公平にするのは、ある程度の規則性を予め家臣らと決めておけば良い
と思われる。
而して一族、譜代、外様の区分は存在するし、個人的に気に入った者により多く
褒美を与えたいと思う気持ちが発生するのもママあることだ。その上で、可能な
限り不満が出てこぬよう、溜まらぬ様によくよく調整せねばならない。
最後に俺が常に意識・自戒し頑張ること。これが最も肝要なことだろう。
基本的には、勢力を広めるに辺り穏便な策と言えば婚姻策であろうか。
同盟などとも併用されている。
そして、武力で攻めるにしても必ず大義名分を掲げる必要がある。多少強引で
あったとしても、あるのとないのでは大きく異なるから注意せねばならない。
上記のような事柄を、家老たちや上級家臣らと相談、取り決め法度の形で
残しておくのも良いかも知れないな。どこぞの分国法みたいに。
俺たちは今後、さらに領土を広げ勢力を増大させていく予定だ。
施策の原則は早いうちに決め、徹底させていた方が良いだろう。
まもなく、南肥前への侵攻が予定されている。
こちらには、過去南肥前の豪族連合から攻め込まれたという事実があり、その報復
をという大義名分もあるが、だからと言っていきなり武力を振りかざすのはあまり
良い手とは言えない。
西肥前や中肥前の時とは異なり、今のところ現地に明確な味方はいない。
まずは、情報の精査と現地での味方作りから始めるとしようか。
さあ、肥前統一の総仕上げ。南肥前を切り取りろう。




