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第十二話

西肥前と中肥前を制圧、その後処理や諸々の内政が一段落したことで、

次は南へ目を向けることになった。


以前北上し、撃退された南肥前一帯の豪族たちを、そろそろどうにかせねば

ならない。あの後も何かと蠢動を続け、中肥前のゴタゴタの折には、こちらを

窺う気勢すら見せた。更に、こちらが中肥前をあっさり制圧してしまったこと

で、恐怖心を煽られたのものか殊更に戦準備を始めている勢力もあるようだ。


肥前統一は今や俺たちにとっては既定路線。

多少時間がかかっても為せるという意識が既に家中一同へ浸透している。

あとは時間を優先すべきか、じっくりといくべきかの二択であると言えよう。


南肥前の一党は、以前と違いまとまりに欠けている。

切支丹と関わりの深い大村と有馬、そして反切支丹で一致している西郷と深堀。

この辺りを付いて、味方を募ろうと思う。

現状で最大の勢力を持っているのは大村であるが、多少なりともこちらと繋ぎ

を取り続けているのは深堀だけだ。深堀の版図は小さいが、西郷と歩調を合わ

せていることから勢力は小さくない。

以前は南肥前に一大勢力を誇った有馬は、切支丹に帰依したことで西郷の離反

を招き、安富などの国人らにも離れられ衰退の一途を辿っているようだ。


宗教とはげに恐ろしきものである。


さて、南肥前の勢力図を前に俺は家臣たちに諮り、西郷・深堀を取り込むこと

に決した。西郷の当主は深堀の当主と実の兄弟であるため、深堀に手筈を依頼

する。深堀が大村を、西郷が有馬を攻め、龍造寺は大村への手当を鍋島豊前が、

有馬には納富能登が向かうことが決まった。俺は今回、久しぶりに遠征軍の

大将を務める。留守居には小田の婿殿と納富但馬らを残した。


大村は深堀と龍造寺が南北から挟み撃ちにされ、豊前は物量に物を言わせて更

に一手を以って東からも攻め立てた。大村は窮したが、せめてもの抗いとして、

反切支丹の深堀ではなく龍造寺へ降伏した。

深堀は大村当主の首を要求したが、ひとまず宥め、有馬の様子をみてから処置

を検討することにした。


その有馬は大村よりも悲惨であった。西郷と合流した能登は、安富・千々石ら

の国人を吸収しながら進軍、有馬の本拠・日野江に至る頃には周辺豪族は全て

龍造寺に降り、さらに有馬では当主が卒中で死去。慌てて隠居が出張り指揮を

取り、早急に二男に当主を継がせ対応したが、衆寡敵せず。すぐさま追いつめ

られてしまった。

俺たちは有馬の隠居とその次男である新当主の首のみを条件に降伏を迫ったが、

反切支丹を掲げる西郷と、それに与する龍造寺に降ることは出来ないとして、

一族揃って城に火を放ち、玉砕してしまった。


俺は別に禁教を迫る積りはなかったのだが、有馬から見れば西郷らと組んだ

時点でこちらに降ることは出来ないと思ったのだろうな。しくじったかな…。


そうして大村は降伏し、有馬は滅んだ。


ひとまず有馬には納富能登に西郷を与力として付け置き、安富や千々石ら戦前

に降った豪族は本領安堵。有馬が滅んだ後に恭順してきた者らは一旦所領召上

げ、今後の働きにより考慮するとした。

なお、有馬は日野江にいた一族挙って玉砕したが、戦前千々石に養子に出され

ていた者がおり、許されて血脈を残すこととなった。


そして大村に有馬が滅んだことを伝えると、当主は自害を選択。家臣らの赦免

と嫡子の助命、及び家名の存続、そして切支丹への寛大な処置を願った。

俺はそれを受け、当主と一族重臣は切腹。その他の家臣は赦免。嫡子は幼少に

つき助命、出家させること。そして大村の家督は西郷から入れ、所領は本拠地

大村周辺のみで四分の一にまで削減とする沙汰を行った。

少々厳しい気もするが、同じ立場でありながら、消滅した有馬に比べればマシ

であろう。なお、削減した所領のうち、西半分は深堀に与え、残り四分の一は

直轄とした。

切支丹への処置云々は、とりあえず長崎の街を見てから判断するとしよう。


こうして俺は、深堀の案内で長崎へ入った。


<大まかな地域>

深堀への加増は彼杵郡の大部分

大村に残ったのは大村郷と彼杵郷の一部

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