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彼氏彼女


一日中、私の周りには女子の群、星野くんの周りには男子の群があった。

だいたいみんな

「どっちから?」「話しかけろよー」「あっちも見てるよ!」

とばかり言ってくる。

それに対して私たちは

「ああ。」「うん。」「そうだね。」「あはははは。」

と適当に返事していた。

どんな顔したらいいかもわからず、とりあえず俯いている。

声だけが襲ってきている中に里沙の声はなかった。

きっと私のそばにさえいないのだと思う。

今日はこの群のせいで里沙を一度も見ていない。一番助けてほしい存在なのにと思うが、会わないでほっとしている気持ちもある。

里沙はとっくに星野くんのことを知っているのだから群の中に入ることはまずないだろう。

このままじゃしばらくは里沙に会えない気がする。


会いたいという気持ちと会いたくないという気持ちが錯誤する中、やっと待ちに待った助けの声が上がった。しかしそれは里沙の声ではなく、珍しいやつだった。

「ほら~!!こんなにあずちゃんを囲んでたら、星野くんが話しかけずらいでしょ!二人にしてあげないと♡」

桃子…

みんなもそんな言われ方をされると退くしかなくなる。

「あ、そっか~♡星野くん、ごめんね!!」

とか言いながらそそくさと離れていった。

だが視線だけは離れていかない。

それを見た男子の群も静かに離れていった。なぜか星野くんの肩をたたいて。


一気に静まりかえった教室の中で、みんなの視線は完全に私たち二人をとらえていた。

すると星野くんは急に立ち上がって私の方にずかずか歩いてくる。思わず身を引いてしまった。

私の前にきて立ち止まると、星野くんは私の腕をつかんで引っ張った。

「っえ?」

そのまま腕をひいて教室から出て行った。

出て5歩くらい歩くと、教室からはひゅ~♡っという声が聞こえてざわざわし始めた。

それでも星野くんは進んでいく。

「…ちょ、星野くん?」

すると我に返ったように立ち止まり、こちらに向き直った。

「…ごめん。」

「え?何が…??」

「あんなになっちゃって…たぶん俺が、友達に言ったから、みんなに知られたのかも…」 

「そ、そうだったのか…」

「なんか俺、相良さんが彼女って思うと、みんなに自慢したくなっちゃって…ほんと、ごめんな。」

「い、いいよべつに。おこってないし…」

そりゃまあ女子に囲まれるのは辛かったが、別に怒っているわけではない。

むしろこうやって助けてくれて感謝しているくらいだ。

そういえば桃子にも感謝しなくてはな。あれは助けようという思いがあったのかは微妙だが、まあ助かったのは事実だ。

それにしても里沙は…

どこでなにをしてるんだ??



案外近くにいるものだw

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