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【連載版】「俺の告白を信じたお前の顔、最高だったよ」  作者: あいあメル
第三部 アレン

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第46話 周知

 アレンが王族であることが公的に発表された翌日。


 レイシアはトボトボと教室へ向かっていた。


「闇ギルドが摘発されたらしいね」

「それよりさ、ウィンフィールド男爵家の話、聞いた?」

「ええ。まさかアレン様が王族だったなんてね」

「私は以前から高貴な人だと思っていたのよ」


 廊下を歩いていると、生徒たちがアレンのことを話しているのが耳に入ってくる。


(これでよかったの)


 何も考えないようにして、教室の扉を開ける。


 一瞬、クラスメートたちに見られた気がした。

 そのまま、真っ直ぐ席まで歩く。


(もう、終わったことだから)


 何も感じていないふりをして、席に座る。


 しばらくして、教師が入ってきた。

 教室の中央に設置された教壇に教師が立つ。


「まず知らせがある」


 普段と違う言葉に、生徒たちが緊張する。


「アレン・ウィンフィールド男爵令息、改めアレン・ヴァレンティス殿下についてだ」


 知っていたことだった。

 なのにレイシアは体が鉛のように重たくなった気がした。


「殿下は正式に王位継承権を持つ王家の一員になられた。学院では身分は関係ないとはいえ、敬意を持って接するように」


 生徒たちが黙って頷く。


「あと、もう一つ。殿下が王家の一員になったことを記念して、王宮で大舞踏会が開催される」


 ざわめく教室。


「はい、静かに」


 たちまち静かになる。


「開催は一ヶ月後だそうだ。基本的に全員参加だ。各家に招待状が送られるだろうから、確認しておくように」


 舞踏会。

 アレンが手を伸ばして、自分にダンスを申し込むところが頭にありありと浮かんでくる。

 手の温度。少しくしゃっとした笑顔。


 自分でも気が付かないうちに鼓動が速くなる。


「じゃあ授業に入る」


 そんな声で現実に戻る。


 口を開いた。

 けど何を言おうとしたのだろう?

 レイシアはそのまま口を閉じた。


 その日、授業は全く頭に入らなかった。


 ♦︎


 放課後。


「アレン様!」

「どうされたのですか?」


 レイシアが帰ろうと思って立ち上がると、教室にやってくるアレンの姿が見えた。

 早速できたのだろう取り巻きの生徒達が、彼の後ろにいるのが見える。


 思わず顔を合わせないために俯く。


「実はレイシアに用があってね」


 教室中の視線を背中で感じた。

 好奇、敵意、そして疑問。


「レイシア!」


 アレンが呼びかける。


 レイシアはゆっくりと顔を上げた。


「……なんでしょうか? 殿下」


 アレンが傷ついた顔をしたのがわかった。


 胸の辺りが抉られたように痛む。


「ここではあれだし、少し落ち着いた場所で話したいな」


 アレンがにっこりと笑った。


「……すみません。殿下と二人で話すのは畏れ多いことです。話すことが可能な内容であれば、ここでお話しくださいませ」


 そう言ってレイシアは頭を下げる。

 床が見える。


「……そんなに僕と話すのは嫌かい」


 アレンがどんな表情をしているのかは見えない。

 けど、沈んだ声の調子はわかった。

 ぎりりと拳を握りしめる。


「嫌ではありません。ただ殿下は高貴な方であるので畏れ多いのです」


 声が震えないように気をつけながら答える。


「殿下。子爵家の娘とこっそり話すなど誤解を招きます」

「そうですよ。相談などがあるなら、私たちが聞きますわ」


 アレンの取り巻き達が、ここぞとばかりに声を上げる。


「すみません、用事があるので」


 そう言って一礼すると、レイシアは荷物を持って駆けるように教室から出ていく。


「レイシア!」


 隣をすれ違う時、チラリとアレンの方を見る。

 アレンが何か言おうとして、手を伸ばそうとしたが、取り巻きに遮られているのが見えた。


(これでいいのよ)


 そう言い聞かせて、レイシアは廊下を早足で通った。


 ♦︎


 そして、アレンが王族に加わったことを祝う大舞踏会の日がやってきた。

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