表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】「俺の告白を信じたお前の顔、最高だったよ」  作者: あいあメル
第二部 ルシアン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/54

第41話 月とチューリップ

 アレンの口が開いて、閉じたのが見えた。

 何回かそれを繰り返している。


 紫色の瞳が大きく開いているのが、レイシアにはわかった。


「……これは現実?」


 アレンの絞り出したような呟きに、レイシアは思わず笑ってしまった。


「ええ、現実よ」

「……そうか」


 レイシアは遠慮がちに両手を広げた。


 アレンが戸惑ったような表情をする。

 そして、おずおずとレイシアに近づく。


 二人の目と目が合う。


 アレンはレイシアの背中に腕を回して抱きしめた。


 温かい。


 レイシアも静かに抱きしめ返す。


 心が幸せで満たされるのをレイシアは感じた。


「……ごめんなさい。決断するまでに時間がかかって」

「ううん。ありがとう」


 しばらく二人は抱きしめ合っていた。

 ずっと、永遠にそうしていたいと感じた。


 だんだん顔が熱くなって、心臓の音がうるさくなっていく。


「なんか恥ずかしいわね」


 堪えきれずレイシアが言う。


「そうだね」


 どちらともなく離れることになった。


 顔が真っ赤になっていないかしら。


 そんな心配をしながらアレンの方を見てみると、アレンが耳まで真っ赤になっていた。


 お互いに見つめ合う。


 なぜかおかしくなってきて、くすくすと笑い合ってしまう。


 そうしてしばらく笑い合った。


 幸せをレイシアは感じていた。


「これから、どうすればいいかしら?」


 ふとレイシアが聞く。

 アレンも真剣な表情になった。


「僕は君と結ばれたい。王家になんとかできないか、交渉してみるよ」

「わかったわ。私も王家と子爵家の婚姻の前例があるのかなど、できることを調べてみる」


 レイシアは息を大きく吸った。


「話せる範囲でいいのだけれど、あなたはこれからどんな身分になるの?」


 アレンが少し言い淀む。


「まだわからない。けれど確実に言えるのは王位継承権が復活するということだ」


 レイシアは思わず息を呑んだ。

 思ったより大きな話だ。


 本当にアレンは王族になるのだ。


 どうしてもすぐには受け止めきれない。


「だから、もし君が婚約者になるんだったら、王太子妃教育や、王妃教育も必要になってくるかもしれない」


 アレンが続けて言った。


 頑張らないと。

 レイシアは拳をギュッと握りしめた。


 そんなレイシアの横で、アレンが月を見ながら言う。


「迷惑をかけてしまうことになる。でも、それでも僕についてきてくれるかい?」

「ええ、私はあなたを選ぶと決めた。だから、これくらい乗り越えてみせるわ」


 レイシアは間髪を入れずに答えた。


「ありがとう」


 アレンがにっこりと笑った。


 そうしてしばらく見つめ合う。


「じゃあ、そろそろ行こうか。また話そう」

「わかったわ」


 二人は手をそっと繋ぎ、月夜に照らされながら同じ歩幅で歩き出した。


 チューリップの球根は地面に埋まっていた。

 そうして、春に咲くのをただそっと待っていた。


これにて第二部 ルシアン完結です。

次話から始まる第三部にて、お話全体が完結予定です。


ここからお話し全体の一番の盛り上がりが来る予定です。


最後まで楽しんでいただければ幸いです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+ + +

魔力0の魔物解体師の女の子が、自分の本当の価値に気がついて、婚約破棄してきたクソ男にざまあする話

『お前なんかを好きなフリするの、大変だったよ〜「無能」と婚約破棄された魔物解体師の少女が、自分の持つ技術が世界一であることに気がつき、食材で世界を変えるまで〜 』

↓↓↓↓↓

連載はこちら

最強だけどちょっと抜けてるおてんば令嬢と、彼女に振り回される料理人を目指す王子様の、ドタバタ最強ラブコメディ!

『公爵令嬢のS級魔物飯〜倒したワイバーンを生で食べる最強アホ令嬢、料理人を目指すため家出した第三王子と屋台を始めたら、いつの間にか彼から溺愛され、最高の料理店を開いていました〜 』

↓↓↓↓↓

連載はこちら
+ + +
― 新着の感想 ―
執筆お疲れ様です。 第42話より、以下のセリフですが⬇ 「ここにいるフローリア子爵令嬢に対するからかいの件で一度お前は失態している。あの時はお前にチャンスを与えた。それを無駄にしたのはお前の責任だ」 …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ