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【連載版】「俺の告白を信じたお前の顔、最高だったよ」  作者: あいあメル
第二部 ルシアン

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第25話 仲間に入れてくれないか?

 レイシアは、空き教室に突然入ってきたルシアンを見て、険しい顔になった。


「そう身構えるなよ」


 ルシアンはニコリと笑った。白い歯が見える。


 アレンが一歩前に出て、レイシアを庇うように立った。


「何をしにきたのですか、ランベール侯爵令息様」


 ルシアンが鼻をふっと鳴らす。


「悪いがどいてくれ。君じゃなくて、後ろのレイシアに話に来たんだ」


 アレンは動かない。


「……どけよ」

「お断りします」


 ルシアンの瞳が一気に暗くなる。


 レイシアは空気が張り詰めた気がした。


 ルシアンが大きく深呼吸をする。


「いいか、今の身分を考えろ。俺は侯爵令息だ。そしてお前は男爵令息」


 そうして、吐き捨てるように言う。


「弁えろ」


 アレンの肩に力が入ったのが見えた。


「アレン、大丈夫よ。私が話すわ」


 レイシアはアレンの横から顔を出し、アレンの肩を優しく叩いた。

 心配そうにレイシアを見つめるアレン。


「……本当に大丈夫かい?」

「ええ、大丈夫」


 そうして、アレンの前に出た。


 その瞬間、ルシアンが先ほどの険悪な空気を微塵も感じさせないような、優しそうな笑顔になる。


「レイシア、元気にしてたかい?」

「何をしにきたのですか、ランベール侯爵令息様」


 レイシアが冷淡に返す。

 ルシアンは一瞬体の動きを止めた。しかし次の瞬間、レイシアたちを安心させるように両手を広げる。


「おいおい、つれないな。俺とお前の仲じゃないか。幼馴染だろ?」

「ええ、確かにその通り、私たちは幼馴染ですわ。ですが、今も仲良くしているとは限りません」

「おおこわいこわい」


 そう言って両手で口元を隠して、おどけたような態度をとる。


「それで、用件は何でしょうか?」

「今していた話を少し聞かせてくれないかい」


 そう言ってルシアンは再度微笑んだ。

 レイシアは目を細めた。


「……あなたに話すことはありません」

「おいおい、俺は侯爵家の人間だぞ。もし喫茶店をやるのなら力になれる。食材の調達、調度品のレンタル。子爵家や男爵家では使うことが難しい伝手だってある」


 レイシアは息を詰まらせる。


(悔しいけど、それには一理あるわ)


 けど、さっきのアレンに対する態度は許せない。


 レイシアの表情から、ルシアンは何かを察したのだろう。


「……ああ、さっきそこの彼に言ったことは謝ろう。レイシアと話をさせてもらいたくて、思わず熱くなってしまった。すまない」


 頭は下げなかった。


 けれど、謝罪は謝罪だ。


「……大丈夫です」


 アレンが言葉を絞り出す。

 それをみて、ルシアンは満足そうにする。


「俺から言いたいことは一つだけだ」


 ルシアンは両手を広げた。


「仲間に入れてくれないか? 力になるよ。昔みたいに一緒に楽しくやろうぜ」


 昔みたいに。


 庭園を一緒にかけっこした。

 市場にこっそり行ったりして、一緒に怒られた。

 くだらない冗談で、笑い合った。


 目の前のルシアンは、あの時と変わらない笑顔をしている。


 レイシアは思わず目を床に落とした。


 ♦︎


 アレン・ウィンフィールド男爵令息は、息を呑んでレイシアとルシアンのやりとりを見守っていた。


 ルシアンが言っていることは、確かに事実だった。

 侯爵家の力を借りることができるのは大きい。


(けど……)


 アレンは拳をぎゅっと握りしめた。


 奥歯を噛んだ。


 せっかくレイシアと一緒に作り上げられる貴重な機会を邪魔される。

 しかも、レイシアがずっと好きだった相手だ。


 気持ちはすでに冷めているとレイシアが行動で示している。


 けれど、優しくされたらまたルシアンへの好意が戻ってしまうんじゃないか。


(いらない心配だ)


 そう思っているのに、石になってしまったかのように、体が動かない。


「ランベール侯爵令息様」


 レイシアが口を開いた。


(ああ、言わないでくれ)


 心臓の音が空き教室全体に響くんじゃないかと思うほど、大きくなった。

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