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有名侯爵騎士一族に転生したので実力を隠して親のスネかじって生きていこうとしたら魔法学園へ追放されちゃった  作者: すずと
四章

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第99話 それは転生特典ではない単純な強さ

「お、れがクローン……?」


 不意に重い一撃を喰らい動揺を隠しきれない。


 俺がクローンだとして、誰のクローンだ? いや、聞くまでもないのか。


 この強さは転生者特典だと思っていたが、違う。


 レオン・ヘイヴンのクローンだから。


 ……ショックだが、なんだか腑に落ちる。


 ずっと思っていたことがある。


 ある日、俺は幼いリオン・ヘイヴンとして転生したんだ。だったら、俺が転生する前のリオンの意識はどこにあるのだろうか、と。


 答えは簡単。もともとリオン・ヘイヴンという人間はこの世にいない。いたのはレオン・ヘイヴンのクローン。その中に俺は転生したんだ。


 ──俺は転生者だからまだこの事実に耐えられる。


 だけどエリスさんはどうだ?


 この世界で生まれ育った身としては辛いことだろう。


「エリスさん。大丈夫、ですか?」


 驚きのあまり、リアクションを出さないエリスさんに声をかける。長い前髪でよくは見えないが、しっかりとこちらに視線をやってくれる。


「あ、はい」


「ショック、ですよね」


 気持ちの整理に時間がかかるだろう。


 ここは一旦、このダンジョンから俺達も抜けるか。


「い、いえ。あまりショックじゃないというか……納得している自分がいるんです」


 強がりの言葉とは違う。彼女の本心。


「昔を思い返すと、私はお父さんとお母さんに森で拾われたと聞いておりました。ただそれだけを聞いて、それ以上は興味がなかったんです。だって、拾われようがなんだろうが、両親は私を実の娘として育ててくれたので。でも、今、自分がクローン? だって言われて納得した自分がいますし、捨ててくれてありがとうと感謝? の気持ちがあったりというか……」


 彼女は本当にショックを受けているわけではないみたいだ。クローンだからなに? といった感じ。俺なんかよりダメージを負ってない。心配するまでもないみたいだな。


 ただ、彼女のクローン元は誰なのだろうか。


『も、申し訳ございません。既にお二人は存じ上げていることだと思いまして……』


「いえ。そういえばホネチチさんが、『あなたも?』って聞いてきましたよね? それって言うのは、マリンと同じ転生者って意味じゃなく、あなたもマリンと同じクローンって意味だったのですね」


『言葉足らずで申し訳ございません』


 まぁ確かに主語が全くなかったが、転生者って意味だろうと勝手に捉えたこちらにも非はある。そのことについて彼を問い詰めることはできない。


「……あぁ、そっか」


 そこで俺とエリスさんの二人だけが異次元に飛ばされた理由がわかってしまう。


「俺とエリスさんはクローンだから、王冠に移植しているホネチチさんの魔力に反応して異次元に飛ばされた。ってことですか」


『正しくは異次元ではなく、過去、ですが。リオン殿の仰る通りです。昔、私はリオン殿に魔人化を治してもらいましたが、その後、身体が朽ちていきました』


「え……それって俺の失敗?」


 そうなるとかなりまずいぞ。今まで魔人化を治した人達も、その後、身体が朽ちてしまうってことか。


『いえいえ。そうではなくてですね。単純に人間としての寿命です』


「あ、そっすか」


 安堵の息が漏れる。


 つうかこの人、言い方がいちいち遠回しなんだよなぁ。


『申し訳ございません。言葉足らずで』


「いえ。それで?」


『はい。人間としての寿命を迎えると、ホリーを、クローン技術を守れないと思い、私は自分のクローンを作り続け、そこに意識を移植させていきました』


「クローン技術が神の怒りを買うものではないから、堂々と使ってやったってことですね」


『やりたい放題してやりましたよ』


 案外ワイルドな性格なんだね。ホネコの父親なだけはある。


『しかし、一つ問題が』


「クローン技術ですもんね。複雑そうで大きな山がありそうだ」


『いえ……その、検体が死にかけのジジィと娘のホネしかないもんですから、そこに自分の意識を移植してもすぐに死ぬんです』


「圧倒的素材不足」


『なんです。それを繰り返してリオン殿が来るのを待とうとも思いましたが、キリがないため、私は意識を王冠へ移植しました』


「そんなこともできたんですか」


『私の魔力は特別ですからね』


 この人こそが生きていたらチートだったのではなかろうか。


『意識を王冠へ移植し、自分のクローンを作成していると気が付いたことがあるのです。それは、魔人化は治っていても、ヴァンパイアの影響が多少残っていること』


「そ、うですね。はい。それは俺も知っています」


 ヴィエルジュやフーラ、ルべリア王女もヴァンパイアが死ぬまで、多少影響が残っていたもんな。


『それを利用し、クローンの身体を魔人化するのに成功。更には自分でコントロールするのも成功致しました』


「そういえば、初めて対峙した時、普通に喋っていましたもんね」


『ええ。この長い年月の中、賊がこの贄の祭壇にやって来ましたからね。全員粉々にしてやりましたが』


 そうだよな。わざわざ封印しているのにやって来るとか賊いがいの何者でもないし。そりゃ粉々にするよな。


『そうして、私は王冠となり、鬼を操作し、ホリーとクローン技術を守っていました』


「はぁ……」


 なんとも異世界感が強いが、それが真実。


「そうだ。ホネコは?」


『あの部屋でリオン殿が来るのを待ち続けておりますよ』


 あの部屋、というのはホネチチさんがずっと守っていた奥の部屋だろう。


 エリスさんはホネコとあまり絡みはないが……。


「エリスさんも一緒に来てくれませんか?」


「は、はい」

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― 新着の感想 ―
はてさて、誰が黒幕なのか。なかなか難しいですね。 吸血鬼は劣化コピーだったけど、必ずしも劣化するとは限らないのね。
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