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有名侯爵騎士一族に転生したので実力を隠して親のスネかじって生きていこうとしたら魔法学園へ追放されちゃった  作者: すずと
四章

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第96話 娘はやらん!!

「うーん……」


 俺はいつの間にか眠っていたらしい。それにしては床は硬いし、やたら固いものの感触があるんだけど。


 くるりと寝返りをうつ。


「グッモーニング」


 骨がいた。


 そして全て思い出す。


「なんでホネコがいるんだよ」


「そりゃわたくし達は夫婦なのですから添い寝くらい普通でしょ?」


「いつから夫婦になったんだよ」


「これこれ」


 言いながら婚約届の紙を見してくる。そこに俺の名前とホネコの名前が書いてあった。この骨、ちゃんと本名を全部書いているもんだから、なんだかバカバカしくなってしまい、どうでも良くなってしまった。


 所詮はママゴトだもんな。付き合ってやるか。


「お前の前腕の骨がコリっとして痛いんだが」


「ひどい。昨夜はあんなにわたくしの身体を弄んだのに」


「弄ぶものがねぇよ」


「冗談。そんなに慌てなくても大丈夫。昨夜は楽しかったわよ。ふふっ」


「なにひとつ焦ってねーわ」


「朝ごはんの前に、二人の愛で汚れた身体をお風呂でリセットしましょう」


「お前から愛のある汁が出るはずねぇから汚れないだろ」


「まぁ♡ わたくしの身体が綺麗と言ってくれるのですね♡」


 このポジティブな骨。精神最強かよ。


 ♢


 このダンジョンの床が湿って汚れている。だから身体が汚れたのは事実なため、風呂をいただくことにした。


 いや、ここは神様に生贄を捧げる場所と言っていたな。


 ということはつまり、この風呂ってのは──。


 これ以上の考えるのはやめておこう。


 今はそんなことよりも優先して考えるべきことがある。


 身体を洗い、湯舟につかりながら考える。


 ダンジョンの外に出られない。見えない壁がある。


 それにより、ここが異空間だという可能性がかなり高まった。そして、俺とエリスさんの二人が異空間に飛ばされたってことになる。


 ここまではなんとなく予想通りだ。しかし、なんで俺とエリスさんなんだ?


 鬼。ホネコ。アルブレヒトの巫女。神の怒り。生贄。成仏──。


 だめだ。今の情報量だけじゃ、俺とエリスさんが異空間に飛ばされた理由が見つからない。


 たまたまエリスさんと飛ばされただけ? いいや、違う。たまたまなら近くにいたウルティムの方が飛ばされる理由になる。


 なにかあるんだ。俺とエリスさんがここに飛ばされた理由が。なにか。


 ──コツコツと風呂に響く足音で思考が止まる。


 まさか、エリスさんが風呂に入って来たのではないだろうか。


 おいおい、まだ出会って数日の女性と風呂なんてどんだけ俺は前世で徳を積んだんだ。ブラック上がりだけど、これも神のお告げ。


 迷いなく振り返る。


「リオンさんのエッチ♡」


「知ってたよ。ばーか」


 振り返るとホネコが立っていた。


「大サービスです。わたくしみたいな超絶可憐美少女の裸を見せるのはリオンさんが初めてなんだからね♡」


「サービスは時に罰と変わる」


「お背中お流ししましょうか?」


「……じゃ、まぁ、うん。お願いしようかな」


 一応、ママゴト中だし、相手がガイコツでも泊めてくれていることには変わりない。


 素直に彼女に従い、背中を洗ってもらうことにする。


「……リオンさんってヒョロい身体してますね」


「お前が言うなっ!」


 ♢


「良いお湯でしたね、旦那様♡」


「ほんと声だけ聞けば最高の花嫁だね、きみ」


 見た目は骨なもんだから残念。


 ホクホクと湯上りをダンジョン(贄の祭壇だっけか)を歩く。風呂上りにこんなところを歩くのもなんだかなぁと思っていると、「きゃああああああ!!」と女性の悲鳴がホネコの部屋の方から聞こえてきた。


「エリスさん!?」


 俺とホネコはダッシュでホネコの部屋の方に戻ると、そこには巨大な鬼が立っていた。


 あれはさっき、一撃でライオ兄さんを瀕死に追いやった鬼か。


「あわわわわ……り、りりり、おんんんん、しゃ……!! ここ、えと……」


 腰を抜かしたエリスさんは、その場で動けなくなってしまっている。出す声も震えてなにを言っているのかはわからない。ただ、こちらに助けを求めていることだけはわかる。


 しかしどうする。手にはなにも武器が無い状態。俺は素手での攻撃ができない。武器がないなら作るのがヘイヴン家だが、ここには武器になりそうな材料も見つからない。


 意を決して素手で挑もうとしたその時。


「お父様!?」


 ホネコの方から叫ぶ声が聞こえてくる。


「お父様?」


 ホネコの方を向いて尋ねた。


「はい。間違いありません。あのような姿になっても、あの王冠はお父様が肌身離さず身に付けていたもの」


「お父様!! わたくしです! ホリーです!!」


 ホネコがお父様と呼ぶ鬼の方へ駆け出した。


「BORYYYYYYY!」


「ぎゃああああああ!」


 ホネコは思いっきり金棒で殴られた。


 そのままこちらへ吹き飛んでくる。


「父親では?」


 目一杯殴られていたぞ。普通の人なら即死レベルだ。骨だから助かったな。


「うう……。お父様、どうして……」


 ホネコは起き上がりながら、「わかった」と思いついたように手を合わせる。


「安心してくださいお父様。この方々は賊ではございません」


「そういう理由で襲って来たの? なんか違う気がするが」


 ホネコの言葉にピタリと足を止めるホネコの父親。


 もしかして、本気で俺を賊と勘違いして襲って来たのか。


「このお方はわたくしの旦那さまです♡」


「BORYYYYYYY!!!!!!」


「おいいい! なんか、さっきより怒ってんぞ!!」


「あー……リオンさんはヒョロイから認めてくれなかったみたいです」


「骨の分際で俺をヒョロ認定すんなや!!」


 こちらのツッコミは虚しく響くだけであった。


 そのままホネコの父親はターゲットをエリスさんから俺へと変える。


「まじで俺のことが気に入らないらしいな」


 しかし、ホネコの話を全て信じるとして、人間だったホネコの父親ということは、この鬼も父親ということになる。


 だったら──。


「BORYYYYYYY!!!!!!」


 襲いかかって来る鬼の攻撃をかわし、身体に触れた。


 そして俺の魔力を送ってみせる。


『GYAAA!! あああ……ぁぁぁ!?』


 身体から煙が上がったかと思うと、鬼は人間の男性へと姿を変えた。

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― 新着の感想 ―
それも戻してしまうか。 加護がなくてもそこそこやれる。
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