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妖怪百物語  作者: keikato
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1662/1756

1662 掌の火

 掌(てのひら)の火は怪火の一種で、江戸時代後期の怪談書『聖城怪談録』に次のような話があります。

 その昔。

 坂井数右衛門という侍が山で木を伐り、それからいったん屋敷に戻り、伐った木を運ぶため家来を連れて再び山へ出かけました。

 帰り道、山中はすっかり暗くなっていました。

 その闇の中。

 青白い顔の男が掌に火を灯してやってきました。

 それを見た家来は腰を抜かしてしまい、それでも坂井はじっと様子をうかがっていました。

 やがて掌に火を灯す男の背後から、もう一人、青白い顔の男が現れて火を吹き消しました。

 同時に二人の男の姿が消えます。

 そのあと。

 坂井は木を背負って家まで帰りましたが、家来は帰る途中でキを失ってしまいました。


・キ=木=気

・『聖城怪談録』(せいじょうかいだんろく・1799年正月、当時の8代藩主の前田利考公が宿直していた護衛の兵士を集めて、それぞれに見聞きした妖怪の百物語を語らせ、それを悠々翁という家臣に命じて書き記し編集したもの)



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