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1642 しゃべる犬
しゃべる犬は『因果物語』に次のような話があります。
鷹の餌にする小鳥をモチ竿で捕える仕事、餌差しを業とする男がいた。
ある日。
この餌差しの家に、犬の生き胆を買いに来た客がいた。
だがこのとき、男があいにく留守だったので妻が応対し、銀三枚まで値をつり上げた。
妻は餌差しの仕事用に飼われていた犬を殺して売ろうと、家の裏へ連れていこうとした。
すると犬が振り返り、客を見て「恐ろしい女よ」としゃべった。
客はびっくりして逃げてしまった。
帰宅した男に、妻は悔しそうに「銀子をもらいそこねた」と話した。
それを聞いた男は、「ほんとに恐ろしい女よ」と言って、家を出ていったという。
このしゃべる犬。
一時は肝を据えたのでした。
・肝を据える=覚悟を決める
・『因果物語』(いんがものがたり・江戸時代前期の絵草子、仮名草子・鈴木正三が生前に書き留めていた怪異譚の聞き書きを没後に弟子たちが1661年に出版)




