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妖怪百物語  作者: keikato
1283/1310

1283 禿狐

 禿狐かぶろぎつねは西村市郎右衛門著『新御伽婢子』に次のような話があります。

 ある夜。

 京の西洞院柳に住む者が友人宅へ向かう途中、背後から何者かに抱きつかれた。

 男がその者の手をつかむと、毛皮のような手触りがしたが、そのままそいつを友人宅まで引きずっていった。

 灯りに照らし出されたのは禿に髪を切り揃え、真っ黒な顔に長い鼻を持つ、人のようで人ではないものだった。

 みな怪しみ、縄で縛り上げようとして男が手を離したとたん、そいつは忽然と消え、後には縄が残っているだけだった。

 昔からそのあたりには禿狐なるものが出るといわれていて、14、5歳の禿の姿をして現れるという。

 この禿狐。

 ハナから人でないとわかりました、


・ハナから=はなから(初めから)=鼻から

禿かぶろ=頭に髪がないことを言い、肩までで切りそろえた児童期の髪型、あるいはその髪型をした子供

・西村市郎右衛門(にしむらいちろうえもん・生年未詳~1696?・浮世草子作者)

・『新御伽婢子』(しんおとぎぼうこ・1683成立・浮世草子)


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