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妖怪百物語  作者: keikato
1282/1304

1282 伊賀侍屋敷の怪

 伊賀侍屋敷の怪は作者不詳の『諸国百物語』に次のような話があります。

 慶長年間。

 伊賀の国のさる侍屋敷では化け物が出た。

 日暮れになると、玄関の前を美しい女が練りの被衣かづきを着て歩く。

 女には首がなく胴体だけのときもある。

 台所の煙出しより、女と大坊主が覗くこともある。

 あるときなどは痩せ衰えた女が4、5人、白い着物に髪を振り乱して踊っていたこともあった。

 このように気味の悪いことがたびたび起きて、いつしか住む者はいなくなった。

 それからずいぶん時が経ち、屋敷に何か出たという話は聞かなくなったが、やはり昔の話を知って、そこには誰も住まないという。

 この伊賀侍屋敷。

 化け物たちはスマナイと思っていました。


・スマナイ=住まない=すまない(申し訳ない)

・慶長年間=1596年から1615年

・練り=練り絹、織物

被衣かづき=女性が外出時に頭から被った布

・『諸国百物語』(作者不詳・1677年刊行の怪談集)


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